これまでに紹介したいくつかの研究などにより、食べ物や飲み物から摂取されるマイクロプラスチック(ナノプラスチック)が、長期的な健康を害している可能性があることが度々報告されるようになってきました。
神経変性などによってアルツハイマー病など引き起こす可能性が指摘され、その研究がなおも進められています。
そんな百害あって一利無しのマイクロプラスチックを避けることができませんが、摂取する量は減らすことはできるかもしれません。
最新、飲料水からマイクロプラスチックを除去する効果的な手段を
最近の研究では、飲料水からそれらを除去するためのシンプルで効果的な方法が発見されたと報告されています。
今回はそんな手軽にできるマイクロプラスチックの除去についてのお話です。
参考研究)
・There’s a Surprisingly Simple Way to Remove Microplastics From Your Drinking Water(2024/03/05)
参考研究)
・Drinking Boiled Tap Water Reduces Human Intake of Nanoplastics and Microplastics(2024/02/28)
煮沸とろ過によってマイクラプラッチックの除去が可能
中国の広州医科大学と済南大学のチームは、マイクロプラスチック(ナノプラスチック)を加えた軟水と硬水を煮沸した後にろ過することにより、これら化学的な物質を最大90%除去することができたと発表しています。
過去の研究では、飲用水道水(中国国内)の中にポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートが混入していることが分かっています。
今回の研究ではさらに多くのナノプラスチック粒子を追加し、その数は効果的に減少したことを確認しました。
この際、ミネラル分の多い硬水では、炭酸カルシウムにNMPが吸着され、沸騰しているお湯の表面から外に排出されると考えられています。
炭酸カルシウムなどのミネラル分が少ない軟水においても、煮沸することで約4分の1のNMPが水から除去されました。
また、お茶を濾す際に使用されるフィルターのようなものを使用した場合でもNMPの低減が確認されています。
研究者らは「この方法は、家庭の水道水からNMP(ナノマイクロプラスチック)を除去することができるシンプルな方法であり、人間にとっての有害さを軽減している」と論文で述べています。
中国では古くから飲み物を飲む際、基本的に温めてから飲む習慣が多いと聞きます。
冷たいものは体に良くないとされ、避けられてきたことによるものでしょう。
これら小さなプラスチックが私たちの体にどれほどダメージを与えるかはまだはっきりしていませんが、健康的なものではないことは明白です。
特に懸念されるのが、腸内細菌叢や体の抗生物質耐性の変化です。
体の調子のほとんどをコントロールすると言ってもいい“腸”を健康に保つために飲み物を煮沸するというのは良い習慣だと思います。
この研究はEnvironmental Science & Technology Lettersにて詳細を確認することができます。
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