肥満は、糖尿病や心血管疾患など健康上の様々なリスクの原因になっています。
エネルギーを蓄えやすいような構造になっている人体は、食べたものが脂肪などのエネルギーに変換されやすい特徴があります。
どうやら、の特徴は、睡眠によって良くも悪くもコントロールされるようです。
今回はそんな睡眠と体重に関係したお話。
Tfuts Nowに2023年1月に掲載された記事からまとめていきます。
参考記事)
・How Sleep Habits Can Affect Weight(2023.1.10)
睡眠と体重の関係
厚生労働省による令和元年国民健康・栄養調査によると、男性の37.5パーセント女性の40.6パーセントの睡眠時間が6時間未満であることされています。
米国においても、成人の約3人に1人が日常的に充分な睡眠が取れていないと報告しています。
睡眠不足は糖尿病、心血管疾患、メンタルヘルス、生産性の低下、死亡リスクの増加と関連しています。
Tufts Health & Nutrition Letterでは、睡眠不足が肥満にも繋がっているとされ、多くの場合、対策を講じることができると考えられています。
科学者たちは、睡眠と体重の関係を説明する生物学的メカニズムを特定しようとしています。
「睡眠中は多くのカロリーを消費できないため、睡眠の取りすぎが体重増加に繋がる」と言う指摘もあれば、「睡眠が少なすぎることと体重が増える関係は明らかではない」という意見もあります。
フリードマン栄養科学政策大学院の上級科学者ホセ・オルドバス氏は「睡眠の質が悪い人はホルモンのグレリンのレベルが高く、レプチンのレベルが低い」と述べ、食事と睡眠の関係の関連性を指摘しています。
グレリンは空腹感を誘発するホルモンであり、レプチンは満腹感を誘発するホルモンです。
つまり十分な睡眠が取れていない場合、日中に空腹感を感じることが多くなる可能性が考えられます。
また、睡眠不足はインシュリン(インスリン)抵抗性を高め、二型糖尿病のリスクとも関連することが分かっています。
インシュリンは、ブドウ糖を血流から細胞に移動させ、身体機能に燃料を供給するホルモンです。
インシュリンの抵抗性が高まると、血中のブドウ糖を処理することができなくなるため、糖尿病のリスクが高まります。
また、細胞は脳に対してエネルギー不足を警告するため、脳は空腹信号を送りより多くのカロリーを摂取するように促します。
これらのことから、睡眠不足が空腹感ひいては体重増加に繋がる可能性が指摘されます。
睡眠に関係する点で言えば、ストレスも大きく関係します。
ストレスは睡眠の質を低下させ、質の低い睡眠はストレスを誘発します。
多くの人は、ストレスを感じた時に快適な食べ物を口にしようとすることがあります。
この時の食べ物は砂糖や塩分の良い健康的でない食品であることがよくあり、これも体重増加など不健康な習慣に繋がってしまいます。
オルドバス氏は、寝なさすぎ(3、4時間)も寝すぎも(12時間以上)も健康に対しては不適切で、成人の適正と考えられる睡眠時間は、およそ7〜9時間と指摘しています。
現在、睡眠が適切な時間でないと感じる場合、日中に体を動かすことや、寝る前の瞑想、ヨガ、デジタル断ちなどが工夫をおすすめされています。
まとめ
・睡眠不足は肥満など不健康な習慣につながる
・ストレスが睡眠不足を生み、睡眠不足がストレスを生む
・十分な睡眠が取れていない場合は、日中や寝る前の過ごし方を変えてみる
今回も、睡眠に関する研究の一つを紹介しました。
一つ疑問に感じるのは、OECD加盟国の中でダントツに睡眠時間が少ない日本において、肥満率が比較的低いという点です。
BMIが25以上(太り気味)の割合を比べると、米国では68%なのに対し、日本では肥満の割合が24.6%とされています。(2022年厚労省調べ)
おそらく一度に食べる食事の量がそこまで多くないことや、健康的な食品(砂糖や油が少ない食品)のバリエーションが多いこと、または和食の効果などが考えられています。
日本においても、自分の身体に肥満の兆候がみられた場合、適切な睡眠から見直すのいいかもしれませんね!
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