心理学

【ことばの心理術⑧】自分を助け成長させてくれる心理

心理学

【前回記事】

  

 

「ひと言」で相手の心をつかむ ことばの心理術 フレーズ辞典

       

この記事では、著書「ひと言」で相手の心をつかむ ことばの心理術 フレーズ辞典から、日常で使える言葉の心理をまとめていきます。

      

主に心理学で使われる用語やその使い方に焦点を当て、ためになったと思ったものを優先的にピックアップしていきます。

      

前回はトラブルが起こったときの対処法についての記事でした。

  

相手の立場に立つと、聞いてほしいことや、謝ってほしいことなどが明確になり、それを実践することで印象のコントロールをできることをまとめました。

  

今回のテーマは、自分の成長につながる考え方についての話です。

 

 

聞く(接近行動)

ソクラテス

「分かりません」と正直に言えることはとても強いことです。

  

古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、“知らないことを自覚することが、知識の第一歩である(無知の知)”と言いました。

  

変に知ったかぶりをするよりも自分が知らないことを相手に伝えた方が、恥をかくこともなく結果的に自分のためになるということを表す代表的な言葉ですね。

  

教え魔”という言葉が表すとおり、知識を持っている人はそれを他人に教えたくてウズウズしていることが多いです。

 

続けて「是非、教えてください!」と言えば、たいていの場合は教えてくれたりします。

  

本書でも、「こういうときこそ、教えられるものと教わるものとの間に友好な関係が生まれるチャンスです。」と述べられています。

 

これは、以前紹介した接近行動”を応用したもであるとされ、人との距離を縮めることで、対象に良い印象を持ってもらうことにつながります。

  

ただし、注意する点があります。

  

「分かりません」という言葉は、「自分の勉強不足ですみません」という態度から出たものでなければいけません。

  

もし、「知らなくて当たり前」という態度が出てしまうと、教えてくれるものも教えてくれなくなるどころか、「何か態度が悪い奴だな」と印象が悪くなってしまう可能性が大です。

  

  

パブリック・コミットメント

パブリック・コミットメント”は、他の誰かに自分の気持ちを表明することを指します。

  

それによって人間は、その宣言を守らなければならないという心理状態に自分を追い込む心理学的テクニックです。

  

人間には、自分自身はどういうものか評価する“自己概念”があります。

  

そして、その自己概念のイメージ通りに行動しようとする傾向があります。

  

「自分は弱い人間だ」というネガティブな自己概念を抱いている人は、行動もネガティブになりやすくなります。

  

否定的なイメージはその人の本来の能力とは関わりなく、行動や考え方の一つ一つが萎縮してしまう可能性が高いのです。

  

逆に「自分はきっとこの課題もこなせるだろう」というポジティブな自己概念を抱いている人は行動もポジティブになっていきます。

  

本書では、あるビジネススクールでのとあるアンケートについて紹介しています。

  

スクールの最上級生を対象に、自分に対して自信があるかどうかと、実際の就職状況の関係を調べました。

  

結果は自信の無い学生の方が就職試験の合格率が低かったということが示されています。

  

自信の無い学生はあまり就職活動に熱心ではなかったかもしれないこと。

 

自信のなさが態度に表れ、面接試験で良い印象を与えられなかったこと。

  

などなど、様々な理由が考えられます。

  

だから、自分について強い自信を持ち、ポジティブな自己評価を下していくことが大切になります。

  

では、そのポジティブな自己評価をどのように獲得したらいいのでしょうか。

  

その方法の一つが“パブリック・コミットメント”です。

 

禁煙しようとする人が職場の仲間や家族に、「煙草はもうやめる」と宣言し、実際に禁煙に成功した例は数多くあります。

  

自分にも言い聞かせ、他人にも宣言すれば、そのような人間にならざるを得ないと行動を矯正してくれるのです。

 

声に出して、できるなら他人に宣言することで自分を励ましながら行動する。

  

それがパブリック・コミットメントです。

  

  

セルフ・ハンディキャッピング

テストの日に「全然勉強してないや笑

  

持久走大会が終わった後で「いや、本気出してないし

  

みんなどこかで聞いたことがあるセリフですね。

  

自分も昔、このような言い訳を口に出していた覚えがあります。

 

言い訳の一種に“セルフ・ハンディキャッピング”と呼ばれるものがあります

  

予防線を張っておくことで、結果が思わしくなくても仕方がなかったという理由付けをすることを指します。

  

「今回の仕事がうまくいかなかったのは、上司の指示が悪かったからだ」と責任転嫁するのも、セルフ・ハンディキャッピング、と言えます。

 

自分のプライドを傷つけないための身勝手な考え方にも思えますが、実は高度な論理操作でもあります。

 

小さな子どもはほとんど言い訳をしません。

 

正確には言い訳をしないのではなく、言い訳ができないのです。

  

まだ頭の中に論理的な思考回路が整備されていないため、なぜ自分が失敗したのかが分かっていません。

 

大人になって経験を積み精神的にも成長すれば、自分の希望や要求が満たされなかったときや、何か失敗をしたときに、自分の行動を正当化する論理操作ができるようになっていきます。

  

セルフ・ハンディキャッピングを使えるようになるということは、人生を熟練してきた証拠でもあります。

 

この言い訳から漏れ出てくる言葉には、自分の経験が詰まっており、次似たようなことがあったらどう対処するかのヒントも自ずと見えてきます。

  

全然勉強してないなんて言えないぐらいに勉強してみたり、本番は本気は出せないつもりで普段の練習量を増やしてみたり、自分が上司だったらどのように指示するのか、また分からない点はどこなのかなどを考えるきっかけがそこにはあります。

  

多分次の本番や、次の結果を出すタイミングには間に合わないかもしれませんが、「やってればいつかは結果が出る」とポジティブに考えながら行動していれば結果はついてくるでしょう。

  

  

まとめ

・知らないことを認めて質問する(聞く)ことで、相手も自分もメリットがある

・目標を誰かに対して口に出すことで、行動しやすくなる

・言い訳には成長のヒントが隠れている

  

“聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥”という言葉に表される通り、変なプライドにこだわっていると損をしてしまうということは沢山あります。

  

それが上司であれ、部下であれ、それこそ子どもであれ、自分の知らないことを聞くということは結果的に成長につながります。

 

聞く”と言う行為は、相手との距離を縮めるきっかけにもなり、自分の知識にもなるという魔法の行為なのですね。

  

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