経験論と帰納法
イングランドではベーコン、ロック、ヒュームらによって英国経験論(経験論)が発展していきました。
経験論は真理を探求するために主に帰納法を用いる場合が多いと言われています。
帰納法の例)
・ソクラテスは死んだ
・プラトンは死んだ
・アリストテレスは死んだ
よって人は死ぬ
・Aの象は鼻が長い
・Bの象は鼻が長い
・Cの象は鼻が長い
よって象の鼻は長い
事象を観察して、確実にある経験から結論を導きます。
理科の実験に近い感覚の論法です。
事例がはっきりしているので、短い時間で結論を導くことができます。
その反面、導き出された結論はあくまで統計論的であり、部分的には必ずしも正しい結論とは言い切れません。
合理論と演繹(えんえき)法
対して、ヨーロッパ大陸ではデカルト、スピノザ、ライプニッツらによって大陸合理論(合理論)が発展していきます。
合理論は真理を探求するために主に演繹法を用いる場合が多いと言われています。
演繹法の例)
・人はいつか死ぬ(前提)
・ソクラテスは人である(事例)
よってソクラテスはいつか死ぬ
・羽がある虫は空を飛べる(前提)
・あの虫には羽がある(事例)
よってあの虫は空を飛べる
前提があった上で、事例を当てはめて結論や法則を導きます。
公式に当てはめて答えを出す、数学に似た論法です。
前提が正しいかを1つずつ検証していくため、導き出された結論は強い説得力を持ちます。
その反面、検証に時間がかかることや、1つでも前提が間違っていた場合は結論にたどり着くことができないデメリットがあります。
身近な使われ方
【帰納法】
A「いつものラーメン屋いこうぜ。」
B「あ~新しいメニューできたもんな。」
A「美味いって話だよ。」
A、B「ようし、行こう。」
ラーメン屋に行くという結論について、メニューができた事実や過去の経験からなる事実を重ねて“行く”という形に持っていきました。
【演繹法】
A「夕飯なににすっかな~、ラーメンにすっかな~。」
B「おい、あそこにラーメン屋があるぜ。」
A、B「ようし、行こう。」
ラーメン=美味しいという前提のもと、ラーメン屋がある事実によって“行く”という結論を導き出しています。
若干複雑な例だったかもしれませんが、知らない間に使っている表現があったりします。
物事が伝わりにくいときには、前提や事実を見直して伝えるとまた違うかもしれませんね!
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