の続き…。
序:アレクサンドロスとダレイオス3世
イッソスの戦いで大金星を挙げたアレクサンドロス。
その後の戦いも勝利を重ね、エジプト一帯を支配下に置きます。
エジプトにて十分な休息と軍備を整えた後、彼はペルシャの中心であるバビロンの征服に乗り出す方針を固めます。
対するペルシャ王ダレイオス3世は、先の戦いでの汚名を返上すべくアレクサンドロスを迎え撃つべく準備をします。
エピソード1「補給と進行」
地中海一帯(エジプトの上部)を占領し補給路も確保したアレクサンドロスでしたが、バビロン(敵国の軍事経済の中心都市)への進行ルートに頭を悩ませました。
理由は、
・下手に平野を進んでしまうことで、ダレイオス3世の得意とする戦車戦を避けたかったこと
・拠点から離れるほど補給物資の確保が困難になること
の二つでした。
制圧した敵拠点に食料が十分にある保証もないため、ルート選びは慎重でした。
最終的には、最短且つ兵への負担も少なく、道中の村や町での補給が期待できるユーフラテス川に沿ってバビロンへ向かう道を選びます。
エピソード2「ダレイオス3世の策略」
ペルシャ軍の斥候マザイウスは優秀でした。
マザイウスの情報によってマケドニア軍の動向を掴んでいたダレイオス3世は、あらかじめ彼らの進行ルートを焼き払い、兵を配置していたのです。
これによってマケドニア軍は、バビロンへの行軍中、補給することが困難にりました。
兵を消耗させた上でバビロン攻略は無謀と考えたアレクサンドロスは、戦闘を避けるため進路を変更してバビロンを目指すことにしました。
エピソード3「4.7万対20万」
ルートを変更したマケドニア軍でしたが、それに気づかないダレイオス3世ではありません。
自ら20万の大軍を指揮し、アレクサンドロス打倒に向かいます。
その数は4万7千のマケドニア軍に対し4倍以上の兵力だったと言われています。
ダレイオス3世が決戦に選んだ場所は、数で優位をとることができ戦車を最も効果的に使うことができる“平野”でした。
エピソード4「私は勝利を盗まない」
マケドニア軍はペルシャ軍相手に5.5kmの距離に迫ったところで進軍を止めました。
これから夜が訪れるからです。
ストラテジス(陸上軍の司令官に与えられる名前)であるパルメニオンは、アレクサンドロスにこう進言しました。
5倍以上の兵力差を覆すには、正面からぶつかるよりも夜襲が上策です。
…と。
アレクサンドロスはその言葉を一蹴しこう言いました。
私は勝利を盗まない。
先の戦の敗北によって、ペルシャ国内でのダレイオス3世の評価は下がりきっています。
ペルシャの大軍を正面切って“征服”することで、ダレイオス3世の威信を地に落とそうと考えたのです。
もしこれが成功すれば、正面からダレイオスを破った征服者として、その後の遠征が極めて有利になるという考えもありました。
エピソード5「5.5㎞の恐怖」
翌朝、ガウガメラ近郊の平野で動きがありました。
遂に戦闘が始まるのです。
しかし万全の準備をしていたはずのペルシャ兵の士気は高くはありませんでした。
ペルシャ兵は前日の夜、夜襲に供えて夜通し警戒を解いていなかったため、かなりの負担がかかっていたのです。
実は昨夜マケドニア軍が保った5.5kmという距離は、夜襲を仕掛けられるギリギリの距離です。
そのためペルシャ軍は警戒を解くことができなかったのです。
更にペルシャ軍には動けない理由がもう一つあります。
戦車戦のために整地した戦場を動くことを嫌ったのです。
対してマケドニア軍は最小限の警戒のみだったため兵をゆっくり休ませることができ、士気の高い状態で戦いに挑む準備ができました。
続く…。↓
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