物質の研究のあり方
・古代ギリシャでは物質とは何なのかを追求するために…
・古代エジプトでは卑金属から貴金属を生み出すための錬金術として…
・中国では不老不死の秘薬作りのために…
世の中にありふれた物質が、どのように考えられてきたのかをみてみたいと思います。
古代ギリシャの物質観
古代ギリシャのデモクリトスは、すべての物質は何もない空間とそれ以上分割できない粒子からできていると考えられ、この粒子をアトムと名付けられました。
これに対してアリストテレスは、自然には虚空は存在せず、物質はいくらでも分割できると考えました。
また、彼はエムペドクレスの「火・土・水・空気」を元素とする四元素説を主張しまし、乾・冷・湿・温の要素によって互いに変化すると考えました。
古代エジプトの物質観
アリストテレスの元素変換説を発展させ、古代エジプトでは錬金術が発祥しました。
鉛や亜鉛などの卑金属から、金や銀などの貴金属を作ろうと考えたのです。
中世以前の中国の物質観
中国においては、錬金術を使って不老不死(長寿)の薬や万能薬を作ることを目的としていました。
この技術はアラビアを経て11世紀頃からヨーロッパに伝わり、中世のヨーロッパに錬金術の時代をもたらしました。
近世の実験による物質観
17世紀になると、元素による考え方も近代化し、実験が重要視されるようになりました。
イギリスのボイルは、古代の空想的な元素の考え方を批判し、
「元素とは、それ以上単純なものに分けられないものである。」
と定義しました。
また1789年、ラボアジェは、当初発見されていた33種類の元素を分類し、「物質の基礎的な構成成分は元素である」とする具体的な概念を実験によって確立しました。
ラボアジェは、呼吸も燃焼であることや、硫黄やリンが燃焼によって質量が増えること、密閉空間で水を加熱しても、質量に変化がないことを実験で明らかにしました。
→質量保存の法則
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