カインとアベル
カインとアベルとは、あの有名なアダムとイヴから生まれた一番目と二番目の息子です。
人から生まれた最初の子供と言われています。
この二人は、人類で最初の殺人事件の被害者と加害者になってしまいます。
神への捧げもの騒動
ある日神は、カインとアベルにそれぞれ捧げ物をするように言いました。
アベルは、神はどんな捧げものをしたら喜ぶかを考え、大切にしている子羊を一匹捧げることにしました。(遊牧の象徴)
カインは、何を捧げれば一番自分が困らないかを考え、果物と穀物をいくつか捧げました。(農耕の象徴)
神は当然、アベルの捧げ物を選びました。
カインの嫉妬
自分の捧げものが選らばれなかったことに嫉妬したカインは、怒りに任せ弟のアベルを殺してしまいます。
神はカインのしたことを知ると罰としてカインを呪い、楽園であるエデンを追放することにします。
その呪いは、土を耕しても作物はできず死ぬまで地上をさすらうというものでした。
カインは言いました。
「さすらう者になれば、出会う人に殺されてしまうだろう。」
(「道行く人に殺されてしまう!」とすがりついたとも言われています。)
それを聞いた神は、カインが殺されることのないよう呪印(守り)をつけ、死ぬまで地上をさまよわせたと聖書に記されています。
その後もカインはエデンの東に住みつき結婚し、エノクという子供も授かることになります。
実際にあった歴史的な衝突
この物語は、単純に道徳観念や宗教的な話であるだけではありませんでした。
かつて起こったであろう、農耕民と遊牧民の衝突を示していると言われています。
この説を、農耕民に対する遊牧民の優越を正当化させるためと解釈する見方もあります。
更に、1552年ティントレット作「カインとアベル」では、同じ兄弟なのにもかかわらず、兄のカインは肌が黒く描かれています。
これには、神によって受けた罰の証として肌を黒くされた説があり、後の黒人奴隷制度を正当化するのに利用されることになります。
この物語はイスラム教の中でも知られていて、弟アベルは兄カインに殺されそうになっても何の抵抗もしなかったとされ、アベルは平和の象徴とも考えられています。
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