【前回記事】
この記事は、書籍「世界はラテン語でできている」を読んで興味深かった内容について抜粋して紹介する記事です。
この本は、古代ローマから用いられてきた言語が現代にどのように残っているのかについて書かれています。
政治、宗教、科学だけでなく、美術やゲームなど幅いジャンルに浸透している言葉について知ることで、世の中の解像度が上がって世界が少し楽しくなるかもしれません。
今回のテーマは、“ラテン語とウィルス”についてです。
ラテン語とコロナウィルス
〜引用&要約ここまで〜
前回までは人間が生きる上で欠かすことができない「栄養素」とラテン語の関係について見ていきました。
今度はそんな健康に欠かせない“栄養素”とは逆に、健康を害する要因であり人類を幾度となく危機に陥れてきた“ウィルス”について見ていきます。
ウィルスにもラテン語が元になっているもが多くあり、最近では記憶に新しい「新型コロナウィルス」の“コロナ”もその一つです。
ウィルスとしての「コロナ」は、見た目が太陽のコロナに似ているからそう名付けられていますが、太陽のコロナの語源はラテン語のcorona(かんむり)です。
これは英語で「王冠」を表すcrownの語源でもあります。
派生した言葉として、corolla(カローラ)という言葉があり、これはラテン語で「小さい冠」、英語でも「(小さな)花の冠」を意味します。
トヨタの自動車である“カローラ”で馴染みがあるのではないでしょうか。
同社には、
コロナ(CORONA=太陽の冠)
クラウン(CLOWN=王冠)
カローラ(COROLLA=花冠)
カムリ(CAMRY=冠)
といったように、冠を司る“C”から始まる車種が多く存在するのもこだわりを感じます。
TOYOTA「クラウン」のエンブレム(なぜトヨタ車「C」頭文字の車名が多い? カローラからセンチュリーまで共通の理由とは より)
ウィルスの語源
「ウイルス」の方については、ラテン語のvirus(毒)が元です。
古代ローマのラテン語の発音では、virusは「ウィールス」と言います。
したがって、日本語の「ウイルス」は、たとえば英語のように「ヴァイラス」と発音するよりも語源であるラテン語の発音に近いのです。
「ワクチン(英語でvaccine)」も、ラテン語のvaccinus(牝牛の)が元です。
これは、エドワード・ジェンナーによって発明された世界初のワクチンである天然痘のワクチンが、牛の病気である牛痘にかからせるというものだったことに由来します。
エドワード・ジェンナー(1749~1823年)
1980年5月に世界から根絶され天然痘ですが、人類には未だ最大の疫病である“インフルエンザ”がなおも強く存在しています。
英語のinfluence(影響)と語源が同じであり、本を辿るとラテン語にたどり着きます。
中世イタリアにおいて、今のインフルエンザと思わしき伝染病の発生が「冬の寒気や星の動きが“影響”している」と考えられ、ここからinfluenza(インフルエンツァ=影響)と呼ばれていました。
18世紀に入り、インフルエンザがイタリアから広まった際、英語でインフルエンザと呼ばれるようになりましたが、イタリア語のinfluenzaの語源はラテン語のfueritis(洗入、影響)です。
40日間の隔離
病気関係の語としては、英語で「検疫」を指す“quarantine”の語源も興味深いです。
元はイタリア語のuna quarantine giorniであり、意味は「およそ40日間」です。
大昔に天然痘が大流行した際、ヴェネツィア共和国が国内の感染拡大を防ぐために、感染が疑われる船を40日間隔離させたことに由来します。
una quarantine giorniの語源は、ラテン語quadraginta(40)にまで遡ることができます。
〜引用&要約ここまで〜
新型コロナウィルスとの戦いはなおも続いていますが、今後も事あるごとに形を変えて人類に襲いかかることになるでしょう……。
自分もこのウィルスのせいか分かりませんが、唾も飲み込めないほどの喉の痛みに3日ほど苦しんだ覚えがあります。
まさに喉に砕いたガラスが突き刺さったかのようで、普段の何もない状態が幸せなんだなと実感できる貴重な体験ができました。
さて、そんなこんなで疫病と長く戦い続けてきた人類ですが、唯一根絶できたのは天然痘のみです。
天然痘のワクチンを開発できたとて、根絶への道のりは険しい道のりだったこと今に伝えられています。
過去の記事にて「世界で初めてワクチンを作った人物エドワード・ジェンナー」についてもまとめているので、興味があれば是非そちらも見てみてください!
↓
コメント