2023年7月21日クリストファー・ノーラン監督作品“オッペンハイマー”が米国にて公開されました。
被爆国の日本においてこの映画を公開するべきかが問題として取り上げられていますが、科学者の伝記映画としては異例のヒット作品とされています。(日本では未公開予定)
原子爆弾に繋がる発明をした人物ですが、はじめに個人的な立場から言うと、なぜ兵隊のいる戦地ではなく一般市民が生活する市街地に原爆を落としたのかは理解できません。
明らかにトルーマンや当時の科学者らが、国際的な影響力を示すためのデモンストレーションや実験・開発の成果として市民を巻き込んだという見方しかできません。
間違っても戦争を終わらせた世紀の大発明なんて都合の良い解釈があってはなりません。
しかしそういった点を抜きにすると、現在ではその技術が発電や軍事的な抑止力、次なる科学の発展に寄与していることも確かです。
そんな悲劇の一端を担った科学者についての映画ですが、オッペンハイマーは自らの研究の成果を“世界の破壊者”と言っていました。
今回はそんなオッペンハイマーについての記事をScience Arertから引用してまとめていきます。
参考記事)
オッペンハイマーの見落とし
クリストファー・ノーラン監督の新作「オッペンハイマー」には、物理学者が核戦争で見る悪夢が詰まっています。
都市から次々とキノコ雲が上がり、放射能がヨーロッパを飲み込むという不吉なビジョンがシリアン・マーフィ演じるロバートオッペン、ハイマーに付きまといます。
ロスアラモス秘密研究所の科学者グループが世界で最初の原子爆弾を開発。
所長であるオッペンハイマーは自分の研究がどれほどの影響力を持つかを知っていました。
彼はこれを「世界の破壊者であり、死である」と言いました。
しかし、オッペンハイマーが考えた最悪のシナリオは、近年の研究による予想よりも小さいものでした。
ラトガーズ大学教授で核の冬について研究を続けてきたアラン・ロボック氏は、「核兵器は、世界が直面している最大の危機だが、私たちはそれを忘れてしまっている」と述べています。
核戦争が勃発し、何百何千もの原子爆弾が爆発すれば地球は核の冬と呼ばれ、直接的な被害だけでなく何十億人もの餓死者を出す……。
これはいわゆる核の冬というモデルに基づいて科学界で議論されている内容です。
核の冬は、放射能にまみれた塵や埃が宙を舞い、太陽光を遮り、雨や雪となって我々に文字通り降りかかります。
繰り返された核攻撃によって成層圏まで達した煤煙は、気温を摂氏15度まで低下させ、何年もの間地球規模の寒冷化が進むとされています。
放射性降下物による放射能は、地球の動植物の多くを破壊します。
まず影響が出てくるのは農作物です。
太陽が遮られたことで農作物が十分に育たなくなり、その結果、世界中の魚や家畜が維持できなくなるという研究予測(2022年)も発表されています。
アメリカとロシアが核戦争を起こせば、これら食糧難を起因としておよそ50億人が餓死すると結論付けられました。
これは直接的な核兵器による被害の10倍以上とされています。
インドとパキスタン館の小規模な核戦争でさえ何百トンもの煤煙を大気中に撒き散らし、およそ20億人が死亡すると推定されています。
これらの研究を踏まえロボック氏は、「この映画によって人々が、核兵器が未だにある理由やどのように使われる可能性があるのか、なぜ核兵器が必要なのかという疑問を持ってもらうことを願っている」と述べています。
核兵器による牽制のおかげで、世界大戦規模の戦争が起こっていないという見方もあります。
個人的には起こす必要がないのではないかと思っています。
単に戦って勝つのではなく、戦わずして如何に敵国制するか、という戦争に突入しているのではないかと……。
もし自分が別の国を支配するとしたら、教育、食、餌、産業を掌握するでしょう。
どのように……と言ったところまでは書きませんが、これら四つの軸は国として守り抜かなければならないものだと考えています。
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