2023年3月12日からアメリカにて、1時間時計の針を早めるサマータイムが実施されます。
しかし、このサマータイムの導入は、深刻な健康リスクをもたらす可能性があるという意見があり物議をかもしています。
今回はそんなサマータイムと健康についての研究を、ScienceAlertなどのニュースサイトからまとめていきます。
参考文献)
・A Neurologist Explains Why Daylight Saving Brings Serious Health Risks
参考研究)
・Adverse Effects of Daylight Saving Time on Adolescents’ Sleep and Vigilance
・Measurable health effects associated with the daylight saving time shift
サマータイムと健康被害
シカゴ大学の研究チームは、サマータイムの約8ヶ月間、夕方遅くまで光にさらされることは健康の代償が伴うとした研究結果を発表しています。
長い時間、光を浴びることで眠気を促進するホルモンの放出を送らせ、睡眠を妨げたり、体内のリズムが乱れるなどの健康被害についての懸念を示しています。
今回の研究では、米国の保険金請求データやスウェーデンの全国入院患者登録簿のデータから、サマータイムにシフトした後に観察された診断結果と、そうでない場合の予想データを比較しました。
米国とスウェーデンにおいては、心臓発作などの心血管疾患、怪我、精神および行動障害、非感染性腸炎や大腸炎などの免疫疾患を含む少なくとも4つ分野における健康リスクが10%の上昇していることが分かりました。
20歳以上対象にしたデータでは、心臓病、脳血管疾患及び循環器疾患のリスクが顕著に現れるのが、導入直後の春であり、標準時間に戻る秋にはリスクの増加が見られませんでした。
一方、精神系のリスクに関しては、導入直後の春においては9%、標準時に戻る秋では12%増加しています。
また、概日リズムの乱れは、薬物乱用のリスクまで高めることが示されています。
正確な理由はまだ分かっていませんが、サマータイム導入時前から比べ1時間早く光にさらされることで、ストレスに反応して放出されるコルチゾールなどのホルモンの制御が乱れる可能性が高いこと指摘されています。
また、冒頭に述べたように、夕方1時間長く光を浴びることで、眠気を促進するメラトニンなどのホルモンの放出が遅れ、睡眠が妨げられることによって悪影響がある点も懸念されています。
この研究は、時計の1時間の変更が、人口の健康に大きな影響を与える可能性があることを示唆していますが、この主張にはいくつかの注意点があると研究者を述べています。
まず、サマータイムの変更が、心血管疾患などの病気に直接関係していると断言できないという点です。
これは、さまざまな体内で起こる様々な要因が重なり、結果的に心血管が起こったという可能性があるため、サマータイムの変更がきっかけであったとしても、“どのような過程を経て心血管疾患に異常が出たかが明らかになっていない”ということに注意が必要とされています。
まとめ
・サマータイムの導入によって健康にリスクがデータ上で明らかになっている
・時間の変更開始の春には心疾患、免疫疾患などがおよそ10%増、サマータイムが終わる秋には精神疾患のリスクがおよそ12%増
・様々要因が重なって、健康リスクが増加するため、一概に原因がこれとは言えない
・概日リズムのが変わることによるホルモンバランスの乱れが原因の可能性が高い
例え1時間のズレであっても、無理やり体をその習慣に合わせようとするのはリスクがあるようですね。
研究から推測するに、サマータイムを解除する秋までには健康被害が少なくなってっくることから、習慣の変化に対しては体が徐々に慣れてくるようです。
週に10分ずつなど、少しずつに変えていく分には比較的リスクが少なくなるものと思われます。
環境の変化に体を慣れさせるのにも、ゴールを見据えて徐々に変えていくほうが負担が少ないということですね。
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