今回からまとめていく連載記事テーマは「チャールズ・ダーウィン」です。
イギリス海軍の測量艦であるビーグル号に乗り込み、世界各地の生物を観察、研究した自然科学者で、その経験をもとに進化論を提唱した人物です。
彼による著作として、『ビーグル号航海記』や『フジツボ類のモノグラフ』などがありますが、最も有名なのはやはり『種の起源』でしょう。
生物の進化について記された書物であり、当時主流だった“人間や動物は神によって創造された”という宗教的な価値観からかけ離れた主張として強いインパクトを残した作品でもあります。
これから複数回に分けて、ダーウィンの生い立ちや彼が世界を旅して得たもの、彼を取り巻く環境や人々についてまとめていきます。
今回は序章として、生物発生から多様化までを紹介します。
生物の多様化
地球が惑星として誕生したのがおよそ46億年前、推定では40憶年前には海が誕生したとされ、少なくとも生物の化石が発見されたのはそこから5億年が経過した頃と言われています。
世界が海に覆われ二酸化炭素が大気の95%を占めていた頃、地球の生態系は二酸化炭素によって支えられ、海中では嫌気性細菌が繁殖していました。
しかし、二酸化炭素を利用して酸素を放出する生物、いわゆる光合成を行う細菌や藻類(シアノバクテリアなど)が現れたことによって、次第に大気中に酸素が増えていきます。
酸素は本来生物にとって猛毒の気体だったため、多くの生物が死滅し、一部の嫌気性細菌は酸素が届かない海の底へと逃げていきます。
そんな中、本来毒であるはずの酸素を利用する生物が現れました。
“好気性細菌”の誕生です。
彼らは長い年月をかけて、酸素をエネルギーとして活用するように進化していきました。
一方、海底の奥深くに逃れ嫌気性細菌からは、核を持たない生物(原核生物)へ進化するものや、仲間同士で融合しDNAを膜で覆った生物(真核生物)に進化するものもいました。
地球誕生から26億年が経ったころには、嫌気性細菌である真核生物と好気性細菌との間で共生するものも現れました。
この頃に生まれたのが、細胞の小器官であり、生物の電気エネルギーの源であるミトコンドリアです。
ミトコンドリアはそれ以降、多くの生物の細胞内に存在し、酸素をエネルギーに換える役割を担っていきます。
生物が酸素をエネルギーにするようになると、寿命という概念が生まれました。
成長と交配によって子孫を残すというシステムが生まれたことで、生物に様々な変化がもたらされるようになりました。
地球誕生から40億年が過ぎると、生物の多様性が確認できるカンブリア紀が到来します。
その後も生物たちは絶滅と繁栄を繰り返し、節足動物や魚類が繁栄した古生代、恐竜が繁栄した中世代、哺乳類が繁栄した新生代となり、現代へと続いています。
その過程で絶えず行われてきたことが“進化”です。
では、ダーウィンは進化をどのように発見していったのでしょう。
次回以降、彼の生い立ちや彼が生きた歴史を紐解きながら説明していきます。
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