夜寝る前、布団の中でスマホをいじってしまう……。
寝つきに良くないと分かっていながらも、ついついやってしまいます。
自分にとっても治したい習慣のひとつですが、今の所これといった害がないため、恥ずかしながら行動に移すことができていません。
今回のテーマは、そんな夜間に人工的な光を浴びることによる害についての研究です。
どうやら真夜中の光ことで糖尿病の危険性がます可能性があるようです。
参考記事)
・Bright Light at Night May Raise Type 2 Diabetes Risk, Study Suggests(2024/07/02)
参考研究)
寝る前のスマホやPC操作の危険性
オーストラリアのモナシュ大学による研究から、夜間に電球やスマートフォンの光を浴びることで、2型糖尿病を発症するリスクを高める可能性があることが示唆されました。
【2型糖尿病】
2型糖尿病は、膵臓から生産されるインスリンと呼ばれるホルモンが正常に分泌されないことが主な原因とされています。
食事によって血糖値が上がる(血液内の糖の割合が増える)と、血液内の糖を細胞に取り込むためにインスリンが分泌されます。
インスリンが分泌されると、GLUT4と呼ばれる細胞に穴を開けるタンパク質が反応し、その穴からグルコース(糖)を取り込んで血糖値を下げます。
もしインスリンが分泌されなければ、血液内の糖の割合が多くなり、活性酸素など生み出すことで、細胞内に炎症が起きてしまいます。
特に指先や目などの血管が細かく張り巡らされた部分は炎症が顕著に現れ、炎症を抑えるために白血球などの抗炎症機能が働いたり、LDLなどの悪玉の脂肪分が溜まったりします。
その結果として血管が詰まり、指先、足先の壊死や失明などを起こしてしまいます。
これが糖尿病に多く見られる症状です。
研究では、40歳から69歳までの約85,000人を対象とし、さまざまなレベルの光への暴露に対しての反応を記録、観察しました。
試験は一週昼夜を問わず行われ、手首に装着したデバイスによって対象者の習慣的な行動パターンが記録されました。
また、その後に英国のバイオバンク実験の一環として、健康状態を9年間追跡しました。
その結果、2型糖尿病を発症した被験者は、一週間の研究期間中に夜の12時30分から午前6時の間に、不自然に光にさらされた可能性が高いことが分かりました。
夜間の光曝露が上位10%の参加者と下位50%の参加者を比べると、上位10%の参加者の方が、2型糖尿病を発症するリスクが67%高い結果となりました。
これは、性別、糖尿病の遺伝的リスク、食事、身体活動、日光への暴露、喫煙、アルコール使用などの他の可能性のある要因を覗いても、結果に有意な差はありませんでした。
これまでの研究でも、読書のための弱いランプであろうと、スマートフォンやTVモニターであろうと、夜間に人工光にさらされると、眠りにつくのが難しくなる可能性があることが示唆されています。
モナシュ大学の研究者は、「夜間光を避けることを伝えることは、世界的な病気である2型糖尿病の罹患率を軽減する可能性のある、シンプルで費用対効果の高い取り組みになるだろう」と述べ、夜間の光を避けることを推奨しています。
過去の観察研究では、夜間の人工光がインスリン抵抗性(インスリンに対する感受性が低下し、インスリンの作用が十分に発揮できない状態)と関連しているという結果もありましたが、これらの実験は一時的な測定結果の範囲でしかありませんでした。
今回の研究で発見された新たな証拠は、人工光への曝露が概日リズムを乱したことでインスリン分泌が変化し、耐糖率の低下や体重増加につながる可能性があることを示唆しています。
この研究での注意点としては、夜間に光を浴びること以外の要素、つまり食事のタイミングや地域・文化的な特徴など、概日リズムに影響を与える可能性のある要素が排除しきれないという点があります。
また、高齢者のみが被験者となったため、若い人の体でも同じ反応が起こるかは明らかになっていません。
さらに、個々の身体が光に対して非常に異なる反応をするということも事実です。
しかし、過去の実験では、食事や生活リズムの乱れによってメラトニンの分泌が適切でない場合、概日リズムの乱れによって膵臓のインスリン分泌量が減少してしまうことが示されています。
これも、糖尿病の発症に寄与する要因になる可能性があります。
夜間の光が概日リズムにどのように影響し、それが体の代謝や健康にどのような影響を与えるかを理解するには、さらなる研究が必要です。
いずれにしろ、適切な時間に寝、適切なタイミングで起きるという生活リズムを整えるために、夜間の光は控えた方がいいのかもしれません。
この研究はThe Lancet Regional Health-Europeにて詳細を確認することができます。
コメント