スナック菓子や加工肉、冷凍のパッケージ食品など、私たちの食卓に当たり前のように並ぶ「超加工食品(ultra-processed foods)」。
体に良くないことは分かっているけど、その簡単さや便利さ、そして手軽に味わえる美味しさから根強い人気を誇っている製品たちでもあります。
完全に排除することは難しいですが、これら超加工食品を減らすことは、私たちの体に短期・長期の両方に少なからず良い影響があるようです。
最新の研究では、超加工食品の摂取量を半分に減らすだけでも、体重減少やエネルギー増加といった明確な変化が見られたと報告されています。
さらに長期的には、心血管疾患や二型糖尿病、がんなどのリスク低下にもつながる可能性が示唆されています。
今回のテーマはそんな超加工食品についての研究についてです。
参考記事)
・What Happens to Your Body When You Cut Back on Ultra-Processed Foods(2026/02/20)
参考研究)
・A Pilot Study of a Novel Dietary Intervention Targeting Ultra-Processed Food Intake(2024/12/08)
・他随時リンクを追加
超加工食品とは何か

超加工食品とは、自然な食材にさまざまな工業的処理が加えられ、人工的な香料や保存料、添加糖、精製された穀物、過剰なナトリウムなどが含まれている食品を指します。
甘いスナックや菓子類、加工肉、冷凍の総菜、清涼飲料水などが典型例です。
アメリカでは、平均的な食事の約60%が超加工食品で占められているとされています。
これらの食品はカロリー密度が高い一方で、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの重要な栄養素が乏しい傾向にあると指摘されています。
ニューヨーク大学グロスマン医学部で臨床准教授を務めるSapana Shah氏は、「高度に加工された食品は、精製穀物や砂糖、飽和脂肪、塩分が多く、繊維や重要な栄養素が少ない傾向がある」と述べています。
8週間で見られた変化
2024年に発表された研究では、超加工食品を減らすことで実際にどのような健康上の変化が起きるのかを検証が検証されました。
この研究では、1日に少なくとも2種類の超加工食品を摂取している成人14名を対象に、8週間のプログラムを実施しました。
プログラムには、栄養教育、食事計画のサポート、そして経済的支援が含まれていました。
研究の主な目的は、超加工食品の摂取量を減らすための特定のプログラムがどの程度受け入れられ、効果的であるかを検証することでした。
その結果、参加者が超加工食品の摂取量を約半分に減らしたところ、明確な健康改善が観察されたと報告されています。
8週間後に確認された主な変化は以下の通りでした。
A Pilot Study of a Novel Dietary Intervention Targeting Ultra-Processed Food Intakeより • 1日あたり平均600キロカロリーの摂取減少
• 砂糖摂取量が50%減少
• 飽和脂肪摂取量が37%減少
• ナトリウム摂取量が28%減少
さらに、参加者からは次のような主観的変化も報告されました。
• 肌の状態の改善
• 手足のむくみの軽減
• 気分の改善
• エネルギーの増加
• 平均約7.7ポンド(約3.5kg)の体重減少
【実験プログラム参加者の感想】
A Pilot Study of a Novel Dietary Intervention Targeting Ultra-Processed Food Intakeより一部抜粋 「停滞していた体重減少が、UPFをやめたことで再び減りはじめた。『これなら続けられる』と思えた。」
「手や足首のむくみがはるかに良くなった。」
「エネルギーがずっと増えた……。気持ちの持ちようも良くなったと感じる。」
「以前のように怒りっぽくならなくなった。この研究と何か関係があるのだと思う。」
これらの結果について研究者らは、「少なくとも短期間においては、行動変容プログラムによって超加工食品の摂取量を大きく減らすことが可能であることが示されました」と述べています。
ただし、この研究は参加者が14名と少人数であり、観察期間も8週間と短いため、長期的な効果については今後の研究が必要である点は明確にしておく必要があります。
長期的な健康への影響

超加工食品と慢性疾患との関連については、これまでにも多くの研究が行われています。
2024年に発表されたアンブレラレビュー(複数のメタ解析を統合した包括的レビュー)では、超加工食品の摂取が心血管疾患、二型糖尿病、大腸がんのリスク増加と関連している可能性が示されました。
また、別の系統的レビューでは、全死亡リスク、心血管死亡リスク、がん、心血管イベント、不安症状などのリスク増加と関連していると報告されています。
研究者は、「もし私たちが超加工食品を減らせば、これらの有害な健康リスクも低下する可能性がある。」と述べ、超加工食品を減らすことは、心血管代謝疾患やメンタルヘルス障害のリスク低下につながる可能性があると結論づけています。
ただし、超加工食品の摂取が直接的な原因であるのか、それとも他の生活習慣要因が関与しているのかについては、引き続き検証が必要です。
超加工食品を減らすための方法

超加工食品は、価格が安く入手しやすいという利点がある一方で、習慣性が高く、やめることが難しい側面もあります。
そのため、専門家は「一気にゼロにする」のではなく、段階的に減らすことが持続可能な方法であると強調しています。
参考にしたHEALTHの記事では、次のような実践法が提案されています。
1. できるだけホールフードを選ぶ
果物、野菜、全粒穀物、赤身のタンパク質、ナッツ、種子類を優先することが基本です。食事の半分を野菜や果物で構成することが推奨されています。
2. 原材料表示を読む習慣をつける
見慣れない添加物が多く含まれている長い原材料リストは避けることが目安になります。
3. 外食よりも自炊を選ぶ
自宅で料理をすることで、使用する油や塩分、糖分をコントロールできるようになります。
事前に食事を計画することも有効です。
4. 水分補給を意識する
超加工食品への欲求は、実は脱水によるものである場合もあり、こまめな水分補給が過剰な間食を防ぐ可能性があります。
研究の意義と課題
今回の研究は小規模ながら、超加工食品を半分に減らすだけでも、短期間で顕著な健康改善が起こる可能性を示した点で意義深いものです。
一方で、長期的な疾患予防効果については、観察研究の結果に基づく推論が多く、今後の大規模介入研究が必要です。
また、超加工食品の定義そのものも研究間で若干異なる場合があり、どこまでを「超加工」とみなすのかについても議論があります。
この点については、研究間で完全に統一されているわけではないため、解釈には一定の慎重さが求められます。
それでもなお、現在得られているエビデンスを総合すると、超加工食品を減らすことは体重管理だけでなく、心血管代謝リスクや精神的健康の改善にも寄与する可能性が高いと考えられます。
まとめ
・超加工食品を半分に減らすことで、8週間で体重減少やエネルギー増加などの改善が見られた
・長期的には心血管疾患、二型糖尿病、がんなどのリスク低下につながる可能性が示唆されているが、因果関係は完全には確立されていない
・段階的にホールフードを増やし、自炊や原材料確認を習慣化することが現実的な第一歩である



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