チョコレートを食べたあとはニキビができるという話はよく耳にしますが、実際にこの関係が示された研究はありません。
しかし糖質がインスリンの分泌を促し、そのインスリンが脂質の合成を促進させる作用があったり、脂質が過剰になることで皮脂が詰まることが知られています。
このため、チョコレートやフライドポテト、ハンバーガーなどの高脂質&高糖質の食事と肌トラブルとの間に無視できない関係があることが考えられます。
今回の記事では、米国皮膚病科学会から発表された内容をもとに、食事とニキビとの関係についてまとめていきます。
参考記事)
・CAN THE RIGHT DIET GET RID OF ACNE?
食事とニキビの関係

私たちの食事がニキビに影響を与える可能性があるという考えは、長年にわたり議論されてきました。
近年では、油脂そのものの摂取だけでなく、高GI(グリセミック・インデックス)食品がニキビを悪化させる可能性が指摘されています。(Acne improves with a popular, low glycemic diet from South Beachより)
【高GI食品とは?】
高GI食品とは、血糖値を急激に上昇させる食品のことです。代表的なものには以下のような食品が含まれます。
• 白パン
• コーンフレークやパフライス
• ポテトチップスやフライドポテト
• ドーナツやその他の甘いペストリー
• 砂糖入りの飲料(シェイクや炭酸飲料)
• 白米
これらの食品は、体内で急激に血糖値を上昇させ、それに伴いインスリンの分泌を促します。
インスリンは炎症を引き起こし、皮脂の分泌を増加させるため、ニキビの発生リスクを高める可能性があるのです。
低GI食でニキビは改善する?

一方で、低GI食品(血糖値を緩やかに上昇させる食品)を多く摂取することで、ニキビの量が減る可能性があるという研究結果も出ています。
低GI食品には、以下のようなものが含まれます。
• 新鮮な野菜
• 特定の新鮮な果物(ベリー類やリンゴなど)
• 豆類(レンズ豆やひよこ豆など)
• スチールカットオーツ(加工度の低いオートミール)
【低GI食とニキビに関する研究】
以下では、低GI食がニキビの改善につながる可能性を示した研究を紹介します。
• アメリカ: 2,258人が体重管理のために低GI食を実施したところ、87%がニキビの減少を実感し、91%がニキビ治療薬の使用を減らせたと報告しました。
(Acne improves with a popular, low glycemic diet from South Beachより)
• オーストラリア: 15~25歳の男性43人が12週間にわたり低GI食を続けた結果、通常の食事を続けたグループよりもニキビが大幅に減少しました。
• 韓国: 20~27歳の患者32人が10週間の低GI食を行った結果、通常の食事をしたグループよりも明らかにニキビが減少しました。
• トルコ: 86人(うち50人がニキビ持ち)が1週間の食事記録を取ったところ、最もニキビがひどい人は高GI食を多く摂取していました。
(Dietary glycemic factors, insulin resistance, and adiponectin levels in acne vulgarisより)
【低GI食がニキビに良いとされる理由】
低GI食がニキビを減らす可能性がある理由として、血糖値の急上昇が抑えられ、炎症や皮脂の過剰分泌が抑制されることが挙げられます。
炎症と皮脂の増加はニキビの主な原因であるため、低GI食が血糖値の変動を抑えることで、ニキビの発生を防げる可能性があると考えられています。
ただし、高GI食とニキビの関連を示さなかった研究もあり、さらなる研究が必要です。
牛乳とニキビの関係

牛乳(ミルクシェイクを除く)は低GI飲料ですが、一部の研究では牛乳の摂取がニキビの増加と関連しているとされています。
特に全乳、低脂肪乳、無脂肪乳のすべてがニキビと関連していると報告されています。
【牛乳とニキビに関する研究】
以下では、牛乳の摂取とニキビの発生に関する研究について紹介します。
• アメリカ: 47,355人の成人女性に高校時代の食事を回想してもらったところ、1日2杯以上の無脂肪乳を飲んでいた女性は、そうでない女性よりも44%ニキビができやすいと判明しました。
(High school dietary dairy intake and teenage acneより)
• アメリカ: 9~15歳の女子6,094人の食事データを分析した結果、牛乳(全乳、低脂肪、無脂肪)の摂取量が多いほどニキビが増える傾向がありました。
(Milk consumption and acne in adolescent girlsより)
• アメリカ: 9~15歳の男子4,273人を対象にした研究では、無脂肪乳の摂取がニキビの発生と関連していました。
(Milk consumption and acne in teenaged boysより)
• イタリア: 10~24歳のニキビ患者205人と、同じ年齢層の皮膚疾患患者358人の食事データを比較したところ、ニキビ患者は明らかに牛乳を多く摂取していました。
また、他の食事習慣に差はありませんでした。
• マレーシア: 18~30歳の88人を対象にした調査で、ニキビのある人は牛乳と高GI食品を多く摂取している傾向が見られました。
牛乳がニキビを引き起こすメカニズムはまだ解明されていませんが、一説には牛乳に含まれるホルモンが体内の炎症を引き起こし、毛穴を詰まらせる可能性があると考えられています。
食事がニキビに影響を与えているかを考える際のポイントとして、
• 特定の食品や飲料を摂取するとニキビが悪化することがあるか?
• その食品や飲料を1日、1週間、1カ月間摂取しないとどう変化するか?
といったことを試すと良いと米国皮膚病科学会は述べています。
これは、人によって影響が現れる量や食事スタイルが様々であり、研究の統計が個人にピッタリ当てはまることがないことからきています。
数ヶ月間特定の食べ物の摂取を絶った後に、敢えて原因となりそうな食べ物を食べてみることで、医師や栄養士でも分析できない身体への影響を知ることが可能です。
まとめ
・低GI食を実践すると、ニキビが減る可能性がある
・牛乳の摂取はニキビの増加と関連がある可能性がある
・原因となる食品を数ヶ月抜き、その影響を分析することも重要
コメント