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【研究】研究者が見つけた100歳まで生きるための4つの習慣(ニューサウスウェールズ大学)

生活

2019年、日本における百寿者が7万人を超えました。

 

英語で100歳を超えた人をセンテナリアン(centenarian)と言いますが、世界中のセンテナリアンの数は増加傾向にあり、2000年の151,000人から2021年には573,000人にまで増加したことが分かっています。

 

医療技術や生活環境の改善が見込まれるこれからの時代、今後より多くの人がセンテナリアンとなることが期待されています。

 

では、すでにセンテナリアンとなっている人たちはどのような生活を送ってきたのでしょうか。

 

また、そこには長寿の秘訣があるのでしょうか。

 

今回の記事テーマとして取り上げていきます。

 

参考記事)

Want to Live Past 100? Experts Recommend These Four Habits.(2024/08/13)

 

参考研究)

A systematic review of diet and medication use among centenarians and near-centenarians worldwide(2024/07/05)

 

 

健康長寿の4つの秘訣

ニューサウスウェールズ大学が行った統計的なレビューから、塩分摂取量を抑えていること、薬をなるべく使わないこと、しっかりと睡眠をとること、生活環境を整えることが、多くの100歳まで生きる人たちに共通する習慣であることが示唆されました。

 

レビューでは、2000年以降に発表された34の観察研究を基に、世界中の100歳以上の人と100歳に近い人(95〜99歳)のライフスタイルが調査されました。

 

以下にそれぞれの習慣についてまとめます。

 

  

①塩分摂取量を抑制した多様な食事

 

まずはじめに、センテナリアンたちは、バランスのとれた食事をしていることが分かりました。

 

彼らのエネルギー摂取量の割合は、炭水化物から57%〜65%、タンパク質から12%〜32%、脂肪から27%〜31%を摂取していました。

 

米や小麦など主食に加え、果物、野菜、家禽(鶏・あひる・七面鳥など)、魚、豆類などのタンパク質が豊富な食品が含まれており、赤身肉の消費量は多くありませんでした。

 

この食事パターンは、地中海食と同様に、身体機能障害死亡のリスクの低下に関連しています。

 

ほとんどのセンテナリアンは、低塩食を好む傾向にありました。

 

レビューした研究のうち1つだけは、1日の平均ナトリウム摂取量(1.6g)を摂っていることが発見されしたが、これは世界保健機関の推奨摂取量の範囲内でもあります。

(推奨摂取量=1日あたり2g未満のナトリウム=約5gの塩に相当)

 

沖縄に住む日本人でもセンテナリアンが比較的多く見られますが、沖縄の食事には推定1.1gのナトリウムが含まれており、WHOの推奨から見ても、塩分が抑えめであると言えます。

 

また、塩分摂取量が多い人(塩辛い食べ物を好む人、食事に塩を余分に加えた人)は、塩を好まない人と比較して、身体機能障害のリスクが3.6倍高いことが分かりました。

 

これらの調査結果は、全粒穀物、根菜、豆、果物、野菜など多様な食物を食べること、赤身肉の消費を抑え、鶏肉、魚、植物ベースのタンパク質を摂取すること、そして、食品中の塩を控える必要があることを示唆しています。

 

 

②薬の使用を減らす

センテナリアンほど長く生きるということは、慢性疾患などのリスクと隣り合わせということでもあります。

 

レビューの半数以上が、高血圧(高血圧)、認知症、認知障害などの発症を経験していますが、通常、平均的な成人よりもはるかに遅く発症します。

 

病気の対象として薬は必要不可欠であり、センテナリアンの人々は、平均4.6種類の薬を服用していることが分かりました。

 

最も頻繁に使用される薬は、血圧や心臓病に関する薬でした。

 

これに対し、寿命が短い人たちは、平均6.7種類の薬を服用していました。

 

センテナリアンがより少ない薬を服用していることが、病状が比較的深刻でなく、より良い健康を示している可能性があります。

 

多くの薬を服用することにより副作用などの有害事象を起こすことを“ポリファーマシー”と呼びます。

 

多くの場合、5つ以上の薬を同時に服用することと定義され、高齢者ではよくあることでもあります。

 

不適切なポリファーマシーは、有害な薬物相互作用による転倒、認知障害、入院などの有害事象のリスクの増加に関連しています。

 

薬は飲まないに越したことがないということですね。

 

  

③ぐっすり眠る

睡眠の質と量は、免疫システム、ストレスホルモン、肥満、高血圧、糖尿病などの心代謝機能に影響を与えます。

 

良い睡眠は、長年の健康と慢性疾患のリスクの軽減に関連しています。

 

レビューでは、センテナリアンの68%が睡眠の質に満足している傾向にあることが分かりました。

 

2020年の13カ国の成人の睡眠満足度の調査では、睡眠満足度は29%〜67%の範囲であり、多くの人が満足に睡眠を取れていないことが示されています。

 

最適な睡眠時間は1日7時間から8時間とされています。

 

より良い睡眠を達成するためのヒントは、定期的な睡眠ルーチンの維持(夜更かしを習慣化しない)、睡眠が邪魔されない環境の構築、定期的な運動、朝日を浴びる、食事のタイミング、ストレスの管理などが含まれます。

 

個人的な意見ですが、どうしても眠れないという場合におすすめなのはやはり“運動”です。

 

朝早く起きて散歩などの軽い運動をし、その体で仕事をしてから帰宅し、諸々の支度の後に睡眠に移る。

 

帰宅してから睡眠までに眠くならない場合は、お風呂に入る前に外を30分程度散歩をするというのもオススメです。

 

自分が「寝よう」という意思を持つよりも、体が睡眠を欲するようにした方が楽です。 

 

習慣化していけば、トレーニングなども取り入れる余裕ができ、精神的にも良い影響が生まれていきます。

 

 

④生活環境

センテナリアンとそれに近い年齢の人たちは、75%以上が農村部に住んでいることが分析にて判明しました。

 

これは、日本の沖縄、イタリアのサルデーニャ、コスタリカのニコヤ半島、ギリシャのイカリアなど、100歳以上が多いことで知られる地域の特徴でもあります。

 

これは、自然に触れていることとが健康と幸福に部分的に関係している可能性があることが示唆されます。

 

例えば、緑地への暴露は、ストレスの低下、うつ病の緩和、血圧の安定化、2型糖尿病や心臓病の予防とも関連しており、潜在的に平均余命を延ばす可能性があります。

 

 

その他の重要な要素

研究では長寿に関連するすべてのライフスタイル要因を見出せてはいません。

 

他の要因として、飲酒喫煙運動不足社会的つながりなども、長寿との関係があると考えられています。

 

また、遺伝も長寿を左右する大きな要因ですが、双子を対象とした別の研究からは、寿命を縮める主な要因は遺伝以外の60%以上の習慣であることが示されています。

  

医療従事者も同様にライフスタイルと医学の価値を認識しており、より良い生活習慣を早く行うことが、長く健康的でいられる要因とされています。

 

これから世界的に長寿の時代が訪れることは間違いないですが、その時に健康な身体を維持するために今行動することは、お金では得られない計り知れない利益を生むものと言えるでしょう

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