【前回記事】
この記事は、書籍「世界はラテン語でできている」を読んで興味深かった内容について抜粋して紹介する記事です。
この本は、古代ローマから用いられてきた言語が現代にどのように残っているのかについて書かれています。
政治、宗教、科学だけでなく、美術やゲームなど幅いジャンルに浸透している言葉について知ることで、世の中の解像度が上がって世界が少し楽しくなるかもしれません。
今回のテーマは、“政府(government)とサイバー(cyber)の語源”についてです。
「政府」の語源と「舵取り」
〜引用&要約〜
前回、前々回と、政治関係の用語の由来となったラテン語を紹介してきました。
本書では他にも紹介されていますが、この話を以て政治関係は一旦の区切りにしようと思います。
本章の最後に紹介するのは、政府(government)とサイバー(cyber)の語源についてです。
英語で「政府」を表す“government”ですが、これは“govern(統治)”から派生した単語です。
governから派生した単語としては他に、“governance(ガバナンス=統治)”や、“governess(ガバネス=女性家庭教師)”などがあります。
政治に関する語では、知事を表す“governor”もこれにあたります。
ちなみにgovernorは「だんな!」という男性への呼びかけにも使われるそうです。
この「統治する」を指す英語のgovernは同じ意味の古フランス語のgovernerから入っていて、その元をたどるとラテン語“gubernare(舵取りする、統治する)”となります。
さらにgubernareは、同じ意味をもつ古典ギリシャ語“kubernáō”にさかのぼれます。
このように語源をみてみると、「舵取り」が英語の“government(政府)”の語源と言えるのです。
日本語でも、指揮することを「舵取り」と言ったりしますが、それととても似ている点も面白いですね。
根本的な意味は、「大きなものの方針を左右する」という意味が同じだということがみてとれますねね
「サイバー」の語源と「舵取り」
上で説明した言葉の他にkubernáōを由来とした言葉で有名なのが、“サイバー(cyber)”です。
この単語は単独ではあまり使われることがなく、「サイバーセキュリティ」や「サイバーテロ」のように他の語に付いて「インターネット空間の」という意味を表します。
このcyber-は“cybernetics(サイバネティクス)”という形容詞が縮まったものが元で、cyberneticsは「人工頭脳研究」を意味する名詞です。
そしてこのcyberneticsの語源が古典ギリシャ語の“kubernetes(クバネティス=舵手)”で、これは“kubernáō(舵取りする)”から派生した単語です。
Googleが設計したシステムである“Kubernetes (クバネティス)”は、この古典ギリシャ語のkubernetesが由来となっています。
Google Kubernetesのロゴ
Kubernetesのロゴに舵のイラストが使われているのは、こういった語源の影響なのでしょうね。
〜引用&要約ここまで〜
政府とサイバーの語源が同じということは中々面白いですね。
舵取りから政府はまだイメージが湧きますが、サイバーとなると連想ゲームが得意な人でも、意味にたどり着くのは難しいでしょうね。
この記事で政治関係のラテン語は一旦の区切りとなり、次回から宗教に関する語源についてまとめていきます。
クリスマスやチャペルなど日本人に馴染みの深い話もでてくるので、乞うご期待!
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