お茶や紅茶は、長い歴史の中で皆に親しまれてきた飲み物です。
時には利権の対象となり高い税率を課せられ、それが大きな戦争のきっかけになったこともあります。(ボストン茶会事件)
そんなお茶ですが、砂糖の入っていないお茶は健康にとって良い効果をもたらすことは体験的に分かっている人も多いことでしょう。
今回はそんなお茶と生活習慣病についてのお話です。
参考記事)
・A Daily Cup of Dark Tea Might Help Improve Blood Sugar and Reduce Diabetes Risk(2023/10/24)
参考研究)
・Antioxidants from black and green tea: from dietary modulation of oxidative stress to pharmacological mechanisms(2016/10/16)
濃お茶と糖尿病のリスク低減
今年の欧州糖尿病学会(The European Association for the Study of Diabetes)の年次総会で発表された研究によると、濃いお茶を毎日飲んでいる人は、糖尿病予備軍のリスクが53%、2型糖尿病のリスクが47%低下するということが分かりました。
・糖尿病予備軍=血糖値が高い状態が続く
・2型糖尿病=インシュリンが正常に機能せず、体内で糖の処理に問題がある状態
研究の共同筆者であり、病院研究財団グループの研究員であるTongzhi Wu氏は、これまでの研究で、炎症の軽減やインシュリン感受性の改善など、紅茶摂取の多くの利点が示されていると説明しています。
今回の研究では、糖尿病リスクの側面に焦点を当てており、紅茶が尿中グルコース排泄量の増加と関連していることを示されました。
Wu氏は、この研究は地域住民の標準化された質問票によって収集されたデータを用いているため、濃茶の臨床的有益性を検証するためには、さらなる介入試験が必要であると指摘しています。
しかし、研究結果は、低リスクの生活習慣として容易に適応できるものであると、研究の有益性も併せて述べています。
お茶が血糖値と糖尿病リスクに与える影響
研究から、濃いお茶(特に紅茶)には抗酸化物質が多く含まれており、酸化ストレスの軽減や、慢性疾患の発症リスクを下げる効果があるとされています。
過去の研究では、参加者に高糖分飲料と低用量または高用量の紅茶、あるいはプラセボの飲料をペアで飲んでもらい、紅茶を飲むことによる血糖値への影響を実証しました。
結果は、低用量または高用量の紅茶を飲んだ人は、プラセボを飲んだ人に比べて血糖値が低いことが分かり、紅茶と血糖コントロールの関係には相関性があることが分かりました。
これを受けてクリーブランド・クリニック下垂体センター内分泌・糖尿病・代謝科の医長であるディヴヤ・ヨギ=モーレン氏は、「テアフラビンとテアルビジンは、コレステロールと血糖値を下げる可能性がある」と述べています。
また、濃茶には、全身の健康維持に役立つさまざまな効能があり、それが糖尿病リスクの低下にもつながる可能性があります。
ウーロン茶のカテキンは、体重を減らし、体脂肪を減少させることがいくつかの研究で示されており、腸内細菌にも影響し、善玉菌の増殖を促進し、悪玉菌の増殖を抑制することで糖尿病リスクの低減に一役買っている可能性があると考えられています。
さらに、発酵プロセスにより、抗酸化作用と抗炎症作用を持つ生物活性化合物が生成され、インシュリン感受性と膵臓のβ細胞の性能を高めることが明らかになっています。(2型糖尿病の予防、改善に寄与)
これらを踏まえ、濃茶はインシュリンの働きを高め、インシュリン抵抗性を改善し、インシュリンを分泌する膵臓のβ細胞を保護し、体内のフリーラジカルを除去し、炎症を抑える可能性があるとヨギ=モーレン氏は述べています。
濃茶の糖尿病リスクへの影響を確認するためには、まださらなる研究が必要ですが、日常生活に濃茶を取り入れることは健康にとっても価値のある試みです。
専門家は、人工甘味料を含まない天然の濃いお茶を飲むことを勧めています。
この研究の詳細は、National Library of Medicineにて確認できます。
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