生活に密接に関わりのあるプラスチック製品。
その生産過程ではプラスチックを加工するために添加剤が多く使用されています。
それによって生産性の向上や劣化の防止など様々なメリットがあり、製品が私たちの身の回りに安定して供給されることにもなります。
この添加物は製品を使用してたり、塵や埃となったものを呼吸として取り込むなど知らず知らずのうちに体内に入っていきます。
体内ではそれらの物質を解毒する作用がありますが、神経発達障害を抱えている場合はそうもいかず、その障害を助長するような働きをするとされています。
今回はそんなプラスチックと体内での排出についての研究の紹介です。
参考記事)
・Common Plastic Additive Linked to Autism And ADHD, Scientists Discover(2023/10/07)
参考研究)
・Bisphenol-A and phthalate metabolism in children with neurodevelopmental disorders(2023/09/13)
プラスチック添加剤と神経発達障害
米国のローワン大学とラトガース大学の研究者は、自閉症スペクトラム(ASD)の66人、注意欠陥・多動性(ADHD)の46人、そして37人の神経型児の3つのグループを調べ、体が尿を介して血液中の毒素を除去するためのプロセスを分析しました。
その結果、ASDとADHDの子どもは、BPAとジエチルヘキシルフタル酸(DEHP)と呼ばれる別の同様の化合物を他の子供と同じくらい効率的に除去できないことが分かりました。
これは化合物による毒性作用のより長い曝露につながる可能性があります。
BPAとDEHPの排泄の主な経路は、グルクロニド化によるものです。
グルクロニド化は、不溶性物質をより水溶性にし、その後の尿中の除去を可能にします。
疫学研究では、エステルなど可塑剤(加工をしやすくするために添加する物質)などの環境汚染物質とASDやADHDとの関連が示されています。
その差が統計的に有意であったのはBPAの場合のみでした。
子供の対照群と比較して、ASDの子供の効率は約11%、ADHDの子供の効率は約17%減少しました。
研究者は、そう言った特定の遺伝子変異した個人は、BPAを必要に応じて除去できないことを意味し、物質が体内に付着することを意味すると考えています。
それは潜在的にニューロンの発達や活動の面で損傷を引き起こす可能性も指摘されています。
ASDやADHDのような状態は、遺伝的影響と環境的影響の組み合わせによってもたらされると考えられており、この新しい研究は両方をまとめたものです。
しかし、それは氷山の一角にすぎません。
神経発達障害を持つすべての子供がBPAを除去するのに問題があったわけではなく、他の要因も考えられます。
データはBPA曝露がいずれかの障害を引き起こすかどうかを示すのに十分ではないため、ASDとADHDが体内でどのように関係していくかを知るためには更なる研究が必要とされています。
研究の詳細はPLOS ONEにて確認することができます。
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