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【研究】50歳未満のがんの罹患率が80%増加【要約】

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がんといえば老化に伴う病気の一つと言われています。

 

しかし、最近になって高齢者だけでなく若い年齢層でもがんの罹患率が上がっているようです。

 

今回はそんながんの罹患率についての研究の紹介。

 

がんの魔の手は高齢者だけでなく、若者にも忍び寄っているようです。 

 

参考記事)

Cancer in Under-50s Has Jumped 80% in 30 Years According to a New Global Study(2023/09/08)

 

参考研究)

Global trends in incidence, death, burden and risk factors of early-onset cancer from 1990 to 2019

 

 

若年齢層でのがん増加

 

米国ハーバード大学、中国浙江大学らの研究によって、50歳未満のがんの診断率が過去30年間で世界的に79.1%増加し、死亡者数は27.7%増加したことを発表しました。

 

発表では、Global Burden of Disease 2019の研究データを基に、14歳から49歳のがん症例が1990年の182万人から2019年の326万とおよそ144万人増とされています。

 

中国の浙江大学医学部が率いる研究者らは、29種類のがんを含む204カ国で収集された情報から、若い年齢層に影響を与えるがんの種類についても研究を進めると同時に、若年齢層に対してもがんについての理解を求めています。

 

早期診断や治療の重要性を強調し、専門医のもと、健康的な食事、タバコとアルコールの制限、身体活動など、若者に予防的なライフスタイルを促進するべきだと主張しています。

 

今後、50歳より前に発生するであろう早期発症がんの新規症例は、2030年までに世界中で31%増加し、それに関連する死亡者数は21%増加すると予想されています。

 

こういった若年性がんのリスクは40歳から49歳の人々にとって最も大きいとされています。

 

2019年には50歳未満の100万人以上が癌で死亡し、乳がんが最も多くの死亡原因となっています。

 

乳がんは2019年にこの年齢層で最も多くの症例がありましたが、気管(鼻咽頭)と前立腺がんは1990年以来最も急速に増加しました。

  

その他、2019年の若年成人で増加傾向として見られるがんは、気管がん、肺がん、腸がん、胃がんでした。

 

一方、早期発症肝がんの診断は減少していました。

 

ロンドンのクイーン・メアリー大学の統計学者スティーブン・ダフィー氏は、この傾向についてこう説明しています。

 

肝臓がんの場合、多数のB型肝炎ウイルスによって引き起こされることが多く、効果的な予防接種が存在するが、エプスタイン・バーウイルスによって多く引き起こされる上咽頭がんについては効果的な予防接種はない

 

過去の症例を見ると、遺伝子によってはがんから身体を保護する場合もありますが、それ意外にも研究者は、(運動や食事など)予防可能な要因があると指摘しています。

 

今回の論文においても、食事の危険因子としては赤身肉が多い、果物が少ない、ナトリウムが多い、牛乳が少ないなどが挙げられており、アルコールの消費とタバコの使用も早期発症がんの根底にある主な危険因子とされています。

 

その他、運動不足、大気汚染、肥満、糖尿病、高血糖も、可能性の高いがんの危険因子として挙げられています。

 

以前の研究では、50歳未満の成人のがんの発生率は1990年代から増加していることがわかりましたが、ほとんどの研究は地域によって差が出ています。

 

2019年の早期発症がんの発生率が最も高かったのは北米、オーストラレーシア、西ヨーロッパでしたが、低所得国から中所得国は異なる影響を受け、オセアニア(オーストラレーシアを含む)、東ヨーロッパ、中央アジアで死亡率が最も高いことが分かりました。

 

また、これらの国と研究データを比べると、健康である割合と死亡率とが不釣り合いだったりと、データ品質が国によって異なるという事実が判明しました。

 

過少報告の可能性、スクリーニングと幼少期の環境要因の影響が明らかにされていない可能性など、いくつかの問題点も発見されました。

 

今後は、地域に限定せず広い範囲で観察することが必要としています。

 

  

まとめ

 

・若年層(50歳未満)のがんの診断率が過去30年間で世界的に79.1%増加し、死亡者数は27.7%増加

・2030年までに世界中で31%増加し、それに関連する死亡者数は21%増加すると予想

・食事や運動、習慣や環境が大きく関係している

・若年層に対してもがんに対する注意喚起が必要

 

長い間研究が行われているにも関わらず、がんは依然として多くの人々を死に至らしめています。

 

がんを減らす最も効果的な方法は、発生したがんを治療することではなく、そもそもがんにならないために予防することです。

 

個人的には適切な食事と運動が、がん予防の最も効果的な手段だと考えています。(特に食事と運動)

  

タンパク質と油は魚介類から、ミネラルはワカメや昆布などの海藻類から、主食は米とし、味噌などの発酵食品を基本として、ファイトケミカルを含むビタミン類は旬の野菜や果物から……。

 

よく言われることですが、これを継続し続けることは至難の業。

 

それでも精製された砂糖や穀物を普段から食べることは避け、農作業やトレーニングなどを含めてよく運動すること心がけたいと思います。

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