3億6000年前に海を支配していた巨大な魚類ダンクルオステウス。
全長は6~10mほどあるとされ、バス程の大きさがあると考えられてきました。
しかし今回、その大きさが4mを超えない程度ではないかという主張が発表されました。
2023年3月9日に掲載された、LIVE SCIENCEの記事と付随する研究からまとめていきます。
参考記事)
Ancient monster fish ‘Dunk’ was short and chunky, study finds(2023.3.9)
参考研究)
実は半分くらいの長さ
クリーブランド・ケースウェスタン大学の Russell Engelman(ラッセル・エンゲルマン)教授は、クリーブランド自然博物館に展示されているダンクルオステウスの標本を研究しているうちにある疑問を持つようになりました。
それは、それまで考えられていた体長と頭の大きさがどう計算しても合わないということでした。
Dunkleosteus terrelliの成体と思われる大きな個体であり、世界中で展示されている D. terrelliを比較する上での基礎となる個体です。
この標本は、発見当初、サメの頭蓋骨のサイズと身体の大きさの関係から全長が推定され、近年までその推定を基準として大きさが公表されていました。
エンゲルマン教授は、発見から150年間そのままにされた謎に迫ろうと、ダンクルオステウスの頭蓋に焦点を当てました。
教授が、まず発見したことは、それまでの推定された大きさは基本的に目視によるものだったということです。
実際に頭蓋の大きさから全長までを割り出す科学的な根拠はなかったということになります。
そこで彼は、さまざまな魚の頭蓋骨と寸法を測定し、それぞれの体のプロポーションを比較しました。
今回、リュウグウノツカイなどの例外を除き、頭蓋骨のサイズと形状が体のプロポーションと相関を発見したことにより、ダンクルオステウスの正確とされる全長が明らかになりました。
この比較から、おそらく13フィート(4メートル)を超えなかった可能性が高いと結論付けられています。
エンゲルマン教授の分析では、頭骨が長い魚類は体が長く、頭骨が短い魚類は体も短い傾向にあります。
ダンクルオステウスは、比較的短い頭を持つ部類になり、当初比較されていたサメというよりもマグロに近いものであると判明し、短く幅の広い体を持っていたと考えられます。
エンゲルマンは当初、このサイズダウンにがっかりしていた様子もありましたが、正確な測定方法が分かったことなどから、最終的には結果に興奮したようです。
この研究から、他の古生物に対しても実際の測定値のズレを修正できることが可能になり、生態系の解明などに大きく貢献できると期待されています。
まとめ
・ダンクルオステウスは以前9メートル超え体長を持つと考えられていた
・これまでの研究は発見当初の目視による比較を引用し続けていた
・実際の体長は、およそ4メートル前後だと推定される
2メートルを超えると言われていたアノマロカリス(アノマロカリス カナデンシス)が、実際は大きくても1メートル前後だったことなどを筆頭に、「後で調べてみたらサイズが大きく違っていた……」なんてことは良くあることです。
ダンクルオステウスもそんな後から正しいサイズが判明した生き物のひとつなようです。
体長が小さくなったとは言え、現生する生物と比べても巨大な肉食魚だったことに変わりありませんね。
実際この目で見てみたい気もしますが、恐らくものの数秒で胴体が両断されてしまいそうです。
以上、ダンクルオステウスのサイズ修正についての話でした!
他にも古生代&古生物についての記事をまとめているので、気になったら覗いてみてください。
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