運動といえば、健康のために行いことも多いですが、負荷をかけて筋肉を肥大化させることが主な目的な人もいるでしょう。
今回はそんなウェイトトレーニングについての効率的なやり方についての研究記事です。
2022年11月に、NEW ATLASに掲載された記事からまとめていきます。
参考記事)
Do you even lift? Lowering weights may be faster route to muscle growth
参考研究)
効率的なトレーニング
オーストラリアのエディスコーワン大学の研究チームは、ウェイトを持ち上げるよりも、ウェイトを下げることに重点を置いた方が、より効率的に筋肉量を増やすことができるという研究結果を報告しました。
共同で研究を行った、新潟大学と西九州大学、ブラジルのロンドリーナ州立大学は、ウエイトトレーニング中のさまざまな段階の筋肉増加について調査しました。
ウェイトリフティングでバーベルを持ち上げた際に発生する筋肉の動きは、コンセントリックコントラクション(短縮性収縮)と呼ばれ、筋肉が収縮しながら縮まることを指します。
逆に、持ち上げたバーベルを上から下ろす際に発生する筋肉の動きは、エキセントリックコントラクション(伸張性収縮)と呼ばれ、筋肉が伸張しながら縮まることを指します。
今回の研究では、被検者53人を対象に、ダンベルカールを週に2回、5週間続けて行ったグループと、何もしなかった対照グループで経過が観察されました。
トレーニングを行ったグループは、
①ウェイトを上げるトレーニング(コンセントリック収縮)のみ行う
②ウェイトを下げるトレーニング(エキセントリック収縮)のみ行う
③それら両方を行なう筋力トレーニング
の3つに分けられました。
これらのグループは全て筋力増強の結果が現れましたが、最も興味深かったのは、やはりグループ①とグループ②の比較です。
ウェイト下げるトレーニングを行ったグループは、ウェイトを上げるグループの半分の回数しか動作を繰り返していないにもかかわらず、筋力の増加は非常に類似していて、筋肥大の指標である筋肉の厚さの大幅な改善も見られました。
また、最もよく筋肉が付いたのは、両方を行ったグループ③ですが、グループ②はそれと比べても大きな差異は見られませんでした。
Ken Nosaka教授は、「エキセントリック(伸張性)に焦点を当てたトレーニングの利点を理解することで、人々はより効率的に運動に時間を費やすことができる」と述べています。
自宅でできるエキセントリックトレーニング
また、Nosaka教授は、家でもできるエキセントリックトレーニングの例をいくつか挙げています。
・椅子に座る
半分しゃがんだ状態から3秒かけてゆっくり椅子に座る
(簡単だと感じる場合は、片足で座ってみる)
・リクライニング
背中と椅子の背もたれの間にスペースを作り、3秒かけてゆっくりと後ろに倒す
(腕は胸で交差するか、頭の後ろにつけておく)
・片足でしゃがむ
椅子の後ろに立ち、片足だけの状態で3秒かけゆっくりてしゃがむ
(バランスがとりにくい場合は、背もたれを支えにする)
・かかとを下げる
椅子に深く座り、前かがみになってかかとを上げる
次に、片方の足を地面から離し、もう片方のかかと3秒かけてゆっくり下げる
・フロントランジ
片方の脚を前に、片方の脚を後ろにし、3秒かけて膝を深く曲げる
筋肉の部位に応じて、エクササイズごとに10回繰り返すことが推奨されています。
まとめ
・ウェイト上げる動作よりも下げる動作の方が筋肉がつきやすい
・研究では、ウェイトを上げるだけのトレーニングよりも2倍近い効果が得られた(半分の動作で同じ筋力増加が見られた)
同じ時間でトレーニングする場合、ウェイトを下げるトレーニングをすることが、筋肥大にとって効率的なことが分かりますね。
あくまで“筋肥大”にフォーカスした研究であり、スポーツや格闘技など実践向けの筋肉を作るという点とは違いがあることは注意しておくといいかもしれませんね。
美しい肉体を作るというのはそれだけで自信がつくので、この研究で分かったことを意識するのはとても良いと思います。
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