歴史

【研究】2900年前の古代レンガはDNAを入れたタイムカプセルだった【要約】

歴史

皆さんはタイムカプセルを埋めたことはありますか?

 

タイムカプセルと言えば幼き頃の思い出の品を詰めた宝箱的な存在です。

 

自分も小学生の頃に思い出の品を入れた箱を埋めた覚えがあります。

 

今回はそんな思い出の箱についての話……ではなく、古代のとあるレンガを分析した研究についてのお話です。

 

古い制作物には様々な成分が含まれており、まさに古代のタイムカプセルです。

 

分析技術が進歩したことで、様々なことが分かってきました。

 

今回はそんな分析技術の進歩に関係する研究についてのお話しです。

 

参考記事)

Ancient Brick From 2,900 Years Ago Turns Out to Be a DNA Time Capsule(2023/08/28)

 

参考研究)

Revealing the secrets of a 2900-year-old clay brick, discovering a time capsule of ancient DNA(2023/08/28) 

 

 

古代レンガの発見

研究の対象となったレンガ.(Arnold Mikkelsen/Jens Lauridsen)より

 

イギリスのオックスフォード大学とデンマーク国立博物館、コペンハーゲン大学らの共同研究チームは、初めて古代の粘土レンガからDNA断片を抽出することに成功しました。

 

この研究で分析されたレンガは、古代都市カルフにあった新アッシリア王アッシュル・ナツィルパル2世の宮殿で発見されました。

 

新アッシリア帝国の王 アッシュル・ナツィルパル2世 British Museumより

 

粘土に刻まれた碑文から、紀元前879~869年の間、つまり宮殿が建設中であった時期のものであることが判明しました。

 

このレンガ自体は約2900年前のものとされており、作る際にチグリス川の土手の泥と、籾殻、藁、動物の糞などの材料を混ぜていたはずだと考えられています。

 

研究チームがレンガに含まれていたDNA を分析したところ、当時生息していた植物のDNAと合致しており、合計で34の異なる植物に分類できました。

 

レンガに含まれていた植物のDNAは、

・アブラナ科(キャベツとカラシナ科)

・ツツジ科(ヒース科)

・カバノキ科(カバノキ科)

・クスノキ科(月桂樹科)

・セリ科(ニンジンとパセリを含む科)

・イネ科(栽培イネ科)

が含まれていることが分かりました。

 

コペンハーゲン大学のアッシリア学者トロエルス・アーボル氏は、「このレンガは、遺跡とその周辺に関する生物多様性を知るタイムカプセルの役割を果たしている」と述べています。

 

今回、研究チームが行った分析技術は動物のDNAを探すのにも応用が効くと考えられています。

 

粘土レンガは世界中の遺跡で発見されており、それらの分析が進めば、その分析物の周辺の生態系や環境に関する新しい情報を明らかにする可能性があります。

  

今回の場合は、粘土レンガが焼成されずに自然乾燥させられていたことが、有機物を保存するのに役立ちました。

  

今後、古代文明と私たちの世界が何千年もかけてどのように変化してきたかがより詳しく明らかになることが期待されています。

  

ちなみにこのアッシュル・ナツィルパル2世は、その残虐性で有名で、反乱を起こされるきっかけにもなるほどでした。

 

反乱を起こされた際、ナツィルパル2世はそれを鎮圧しますが、そのときを記した碑文にはこのようなことが刻まれています。

 

余は彼らを老いも若きも捕虜とした。

彼らの幾人かの手足を余は切り落とした。

余は他の者の耳、鼻、唇を切り落とした。

若者たちの耳で余は塚を築いた。

老人たちの頭で余は塔を建てた。

余は戦勝の記念として彼らの頭を彼らの都市の前に晒した。

男児と女児たちを余は炎の中で焼いた。

彼らの都市を余は破壊し、焼き払った。

 

老若男女容赦ない彼の暴虐振りが見て取れますね。

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