西洋哲学における中世は、紀元前5世紀~ルネサンスが始まる前の15世紀頃と言われています。
ルネサンス前のヨーロッパは、キリスト教カトリック的支配の影響によって、多くの文化が停滞したと言われています(暗黒時代)。
学問分野では目立った進展はありませんでしたが、哲学においてはとても盛んであり、多くの人物が活躍しました。
今回は、そんな暗黒時代前の哲学の発展について触れていきます。
・アウグスティヌス(354~430年)
アウグスティヌスは、古代ローマ末期に生きたキリスト教信者であり哲学者だった人です。
信仰と哲学を学び、プラトン哲学とキリスト教の統合を試みました。
彼の思想は、全てのものは神の哀れみによって存在するというものでした。
「人は元々無から生まれたものであり、放っておけば無に帰還るだけである。神の恩恵無しに、この世を生きることは不可能である。」
…と、人間がは神の意思で生かされていること説いていきました。
彼の考えは、人間は自由であると言う思想の一派らと論争を繰り広げ、その後も哲学の発展に大きく貢献することになりました。
・ボエティウス(480~524or525年)
中世哲学に大きな貢献をした人をもう一人紹介。
それがアニキウス・マンリウス・トルクアトゥス・セウェリヌス・ボエティウスです。(一人の名前です。長い…。)
彼は古代ローマ末期の政治家であり哲学者です。
彼の思想はギリシャ哲学の一派ストア派に由来し、理性をコントロールして外からの障害を克服しようとする考えをもっていました。
彼の功績は、アリストテレスとプラトンの論理学をラテン語に翻訳したことです。
彼の翻訳したギリシャ哲学書が多くの若者に認知され哲学が盛んになったり、アリストテレス研究のきっかけになったりと、哲学の発展に大きく貢献しました。
また、「哲学の慰め」など後世に残る有名な書を著しましたが、これが脚光を浴びるのは暗黒時代を経た何百年も後のことでした。
「哲学の慰め」翻訳文(PDF)
波乱の人生を送ったボエティウスですが、それはまた別のお話にて…。
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