炎症とは、体が刺激、怪我、または感染に対して免疫反応を起こすことです。
短期間の炎症は、体が外部からの攻撃に対処するための正常なプロセスですが、慢性的な炎症は体にダメージを与え、心臓病やがんなどの深刻な健康問題のリスクを高めることが知られています。
食生活やライフスタイルは、炎症のレベルに大きな影響を与えます。
一部の食品には抗炎症作用がありますが、逆に炎症を促進する食品も存在します。
本記事では、気づかずに炎症を引き起こしている可能性のある10の食品について、理由と関連する健康リスクを併せて紹介します。
1. 砂糖を多く含む食品・飲料
炭酸飲料、キャンディー、アイスクリームなどの砂糖が多く含まれる食品や飲み物は、炎症を引き起こす可能性があります。
【炎症を悪化させる理由】
• 腸内の善玉菌が減少し、炎症を引き起こす悪玉菌が増える
• 体内の炎症性経路を刺激し、慢性的な炎症を促進する
【関連する健康リスク】
• 心臓病
• 肥満
• 脂肪肝
(Excessive intake of sugar: An accomplice of inflammationより)
2. ファストフード

ハンバーガー、フライドポテト、ピザなどのファストフードを頻繁に食べると、体重増加や炎症のリスクが高まる可能性があります。
【炎症を悪化させる理由】
• 加工肉、精製穀物、砂糖、塩分の多用
• 高塩分の摂取により、炎症性タンパク質(TNF-αやIL-6)が増加する
(High-Fat, Western-Style Diet, Systemic Inflammation, and Gut Microbiota: A Narrative Reviewより)
【関連する健康リスク】
• 動脈硬化(血管の慢性的な炎症)
• 関節リウマチ(RA)
• 心臓病
(Salt, inflammatory joint disease, and autoimmunityより)
3. 赤身肉や加工肉

ステーキ、ベーコン、ホットドッグなどの赤身肉や加工肉の摂取は、炎症を促進する可能性があります。
【炎症を悪化させる理由】
• 飽和脂肪酸が多く、炎症マーカー(CRPやMIP)を増加させる
• 腸内細菌がTMAOを生成し、炎症を促進する
【関連する健康リスク】
• 心臓病
• 大腸がん
• 糖尿病
4. 揚げ物

フライドポテト、唐揚げなどの揚げ物は、体内の炎症を悪化させることが分かっています。
【炎症を悪化させる理由】
• 終末糖化産物(AGEs)が発生し、酸化ストレスを増加させる
• フリーラジカルが細胞を損傷し、慢性炎症を引き起こす
【関連する健康リスク】
• 糖尿病
• 心臓病
• 特定のがん(膵臓がんなど)
5. 加工食品やインスタント食品

ポテトチップスなどのスナック菓子、冷凍食品、市販の焼き菓子などの超加工食品は、炎症の原因となる成分を多く含むことがあります。
【炎症を悪化させる理由】
• 砂糖や精製穀物が多く、血糖値の急上昇を引き起こす
• 高ナトリウムが炎症マーカー(CRP)を増加させる
(Our Hidden Enemy: Ultra-Processed Foods, Inflammation, and the Battle for Heart Healthより)
【関連する健康リスク】
• 炎症性腸疾患(IBD)
• 関節リウマチ(RA)
• 高血圧
6. オメガ6脂肪酸を多く含む食品

カップ麺やマヨネーズといったキャノーラ油、パーム油などを使用した超加工食品には、オメガ6脂肪酸が多く含まれており、炎症を促進する可能性があります。
【炎症を悪化させる理由】
• オメガ6とオメガ3のバランスが崩れると、炎症を促進する
• 過剰なオメガ6摂取が炎症性物質(プロスタグランジンE2)の生成を増加させる
(Omega-6 vegetable oils as a driver of coronary heart disease: the oxidized linoleic acid hypothesisより)
【関連する健康リスク】
• 心臓病
• 2型糖尿病
• メタボリックシンドローム
(Beneficial effects of linoleic acid on cardiometabolic health: an updateより)
7. 塩分の多い食品

塩分を過剰に摂取すると、腸内環境が悪化し、炎症を引き起こす可能性があります。
【炎症を悪化させる理由】
• 塩分の過剰摂取が腸内の善玉菌を減少させる
• 高塩分が腸の炎症を促進する
(Is Salt at Fault? Dietary Salt Consumption and Inflammatory Bowel Diseaseより)
【関連する健康リスク】
• 炎症性腸疾患(IBD)
• 高血圧
• 腎臓病
8. 精製穀物

白米や白パンなどの精製された穀物は、全粒の穀物と比べて炎症レベルの上昇と関連があることが分かっています。
【炎症を悪化させる理由】
• 食物繊維が少なく、血糖値を急上昇させる
• インスリン抵抗性を引き起こし、炎症を促進する
(The associations between whole grain and refined grain intakes and serum C-reactive proteinより)
【関連する健康リスク】
• 肥満
• 糖尿病
• 動脈硬化
(The Health Benefits of Dietary Fibreより)
9. 人工甘味料

アスパルテームやスクラロースなどの人工甘味料は、炎症を引き起こす可能性があるとされています。
【炎症を悪化させる理由】
• 腸内細菌のバランスを崩し、炎症を促進する
• 腸の善玉菌を減少させる
(Effect of Non-Nutritive Sweeteners on the Gut Microbiotaより)
【関連する健康リスク】
• 腸の炎症(リーキーガット症候群など)
• 代謝障害
• アレルギー反応
10. アルコール

アルコールは組織を損傷し、酸化ストレスを引き起こすことで炎症を促進することが分かっています。
【炎症を悪化させる理由】
• フリーラジカルの生成を増やし、細胞ダメージを促進する
• 炎症性タンパク質(TNF-α)の生成を増加させる
(Impact of Alcohol on Inflammation, Immunity, Infections, and Extracellular Vesicles in Pathogenesisより)
【関連する健康リスク】
• アルコール性肝疾患(ALD)
• がん(肝臓がん、食道がんなど)
• 神経変性疾患(アルツハイマー病など)
抗炎症食のメリット
以上の10のリスクを避けるために、抗炎症食を取り入れることは、特定のがんや心臓病などの炎症に関連する疾患のリスクを低減する最良の方法の一つです。
具体的には、果物、野菜、赤身のタンパク質、ナッツ、種子類、健康的な脂肪などが挙げられます。
研究によると、地中海式ダイエットのような抗炎症食品を多く含む食事を続ける人は、炎症性疾患(IBDなど)にかかるリスクが低いとされています。(Is the Mediterranean Diet in Inflammatory Bowel Diseases Ready for Prime Time?より)
また、TNFαやCRPといった炎症マーカーのレベルも低い傾向にあることが示されており、食事が健康に与える影響は良くも悪くも大きいことが示唆されています。(The Association of Anti-Inflammatory Diet Ingredients and Lifestyle Exercise with Inflammagingより)
炎症を抑える食品

野菜や一部の果物といった特定の食品には、カロテノイドやビタミンCなどの抗酸化作用および炎症を軽減する成分が含まれています。(Antioxidative and Anti-Inflammatory Activity of Ascorbic Acidより)
これらの成分は、活性酸素のレベルを低下させ、炎症性経路を調節し、炎症を促進するタンパク質の生成を抑制する働きを持っています。
【強力な抗炎症作用を持つ食品】
• 野菜(果物):ケール、ほうれん草、玉ねぎ、ブロッコリー、カリフラワー、ピーマン、ニンジン、ビーツ、アスパラガス、サツマイモ(ベリー類、レモン、ザクロ……)など
• ハーブ・スパイス:ターメリック、パセリ、ココア、ニンニク、シナモン、生姜、バジル、サフラン、ローズマリーなど
• 魚介類:マス、サーモン、イワシ、アサリ、カキ、ムール貝(及びそれらに含まれる油脂)など
• 種子類・ナッツ類・ナッツバター:チアシード、フラックスシード、カボチャの種、ヒマワリの種、クルミなど
• 全粒穀物:オートミール、キヌア、そば、玄米、ソルガム、大麦など
• 豆類:大豆、ヒヨコ豆、キドニービーンズ、レンズ豆、ブラックビーンズなど
炎症を抑えるその他の方法

炎症を減らすために、食事以外でもできることがあります。以下の方法が効果的です。
• 定期的な運動:ウォーキング、水泳、レジスタンストレーニングなど
• ストレス管理:呼吸法、ヨガ、マインドフルネスなど
• 適正体重(体型)の維持:自分に最適な体重を保つ
• 毒素への暴露を減らす:大気汚染などの環境要因に注意する
• アルコールを控える
• 喫煙を避ける
また、リウマチ性関節炎(RA)や炎症性腸疾患(IBD)など、医師の管理が必要な炎症関連の疾患もあります。
もし炎症に関する不安や炎症性疾患を持っている場合は、自分の判断だけでなく医師に相談することが重要です。
まとめ
・砂糖を多く含む食品・飲料、ファストフード、赤身肉・加工肉、揚げ物、加工食品などは、慢性的な炎症を促進し、心臓病や糖尿病などのリスクを高める
・野菜、果物、魚介類、全粒穀物、ナッツ、スパイスなどが抗炎症作用を持ち、健康維持に役立つ
・定期的な運動、ストレス管理、適正体重の維持、禁煙、アルコールを控えることが炎症のリスク低減につながる
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