心理学

【歴史を変えた心理学⑰】マクレランドの欲求理論

心理学

【前回記事】

 

この記事では、著書“図鑑心理学”と自分が学んできた内容を参考に、歴史に影響を与えた心理学についてまとめていきます。

 

心理学が生まれる以前、心や精神とはどのようなものだったのかに始まり、近代の心理学までをテーマとして、本書から興味深かった内容を取り上げていきます。

  

今回のテーマは、「マクレランドの欲求理論」についてです。

 

 

マクレランドの欲求理論 

デイヴィッド・マクレランド(1917~1998年)

 

デイヴィッド・マクレランドは、アメリカを代表する心理学者です。

 

イェール大学を卒業後、ボストン大学やコネチカット大学で教鞭を執った後、1956年からハーバード大学の心理学教授として活躍しました。

 

彼は、1953年頃から心理学の商業的応用を試み、従業員の人材育成やモチベーションについての研究を行いました。

 

ここで考え出されたのが「欲求理論」です。

 

 

マクレランドの欲求理論は、個人の動機づけを“権力・所属・達成”という三つの欲求に単純化したもので、ほとんどの場合、このうちの一つの欲求が他の二つの欲求よりも優位を占めています。

 

【権力による欲求】

他者に影響を及ぼし、管理しようとする欲求

管理職は権力によって行動が駆り立てられます。

彼らは統率によってチームをコントロールすることにモチベーションを持ちます。

チームを引っ張っていきたいという動機づけをもたない人を昇格させたとしてもうまくいきません。

権力を必要とする人にチームの一員として働かせたとしても、上手くいきません。

 

【達成による欲求】

目標達成のために、努力を惜しまず行動しようとする欲求

達成の欲求に駆り立てられる人は競争心が極めて旺盛な人です。

質の高い仕事に取り組み、それを継続しようと向上心を持って努力します。

 

【所属による欲求】

他者と良い関係を構築し、維持しようとする欲求

所属の欲求に駆り立てられる人は、チームの一員であることを望みます。

コミュニティの中で仲間関係を確立し、チームとして目標に向かって働こうとします。

彼らは、自身が仲間と十分な距離をとろうとはしないので、管理職には向きません。

 

マクレランドによれば、どの欲求が優位であるかは、その人がどのような職業人になりたいのかによって変わってくるといいます。

 

しかし、私たちはだれも自身の動機づけに気づいていません。

 

なぜなら、私たち自身の動機づけは無意識から生み出されるからです。

 

そこでマクレランドは、絵画統覚テスト(Thematic Apperception Test)を考案しました。

 

1930年代に改訂版が開発されたこの絵画統覚テスト(TAT)は、対象者に一連の画像について語るよう求め、その発言をもとにどの欲求に属するのかを明らかにします。

 

絵画統覚テスト(TAT)の例

Q:右の黒い服の女性は何をしようとしているか

→A1:黒い男性をナイフで刺そうとしている

→A2:女性をナイフで刺そうとしている

→A3:(それ以外のシチュエーション)

 

1960~1970年代、 人事採用に心理学を利用することが流行しましたが、その後、次第に廃れていきました。

 

とはいえ、欲求理論の中心となる考え方自体は、会社を運営する上では現在でも有効です。

 

また、マクレランドは3つの欲求理論に加えて4つ目の理論があります。

 

それは「回避による欲求」です。

 

これを踏まえて一覧にまとめますと、以下のようになります。

 

【権力による欲求】

他者に影響を及ぼし、管理しようとする欲求

権力による欲求が強い人は、統率によってチームをコントロールすることにモチベーションを持ちます。

チームを引っ張っていきたいという動機づけをもたない人を昇格させたとしてもうまくいきません。

また、権力を必要とする人にチームの一員として働かせたとしても、上手くいきません。

職人の傾向)マネージャー、管理職など

 

【達成による欲求】

目標達成のために、努力を惜しまず行動しようとする欲求

達成の欲求に駆り立てられる人は、競争心が極めて旺盛な人です。

質の高い仕事に取り組み、それを継続しようと向上心を持って努力します。

職人の傾向)営業職、プロジェクトリーダーなど

 

【所属による欲求】

他者と良い関係を構築し、維持しようとする欲求

所属の欲求が強い人は、チームの一員であることを望みます。

コミュニティの中で仲間関係を確立し、チームとして目標に向かって働こうとします。

彼らは、自身が仲間と十分な距離をとろうとはしないので、管理職には向きません。

職人の傾向)接待・対応、チームの部下など

 

【回避による欲求】

失敗を恐れ、適度な目標を避けようとする欲求

回避の欲求が強い人は、失敗によるストレスを回避する傾向に

批判を恐れて周囲に合わせようとする

職人の傾向)ルーティンワーク、事務職など

 

上手く運営ができている組織は人々の各自の欲求が満たされており、そうでない組織はこの欲求を満たすような人事が必要です。

 

もし、会社やコミュニティーの運営に困った時は、この欲求理論を見直してみると、道が開けるかもしれません。  

 

 

まとめ

・マクレランドの欲求理論は、個人の動機づけを“権力・所属・達成”という三つの欲求を単純化したもの

・それぞれ、以下のようにまとめられる

→他者に影響を及ぼし、管理しようとする欲求

→目標達成のために、努力を惜しまず行動しようとする欲求

→他者と良い関係を構築し、維持しようとする欲求

・上手く運営ができている組織は、人々の各自の欲求が満たされている

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