第六感といえば、虫の知らせや以心伝心、時には霊感などとも呼ばれ、科学的な説明のつかない感覚的な現象のことを指すことが多いです。
人に本来備わっている視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚以外の感覚を総称した呼び名という認識で間違いないでしょう。
霊感などの特別な能力ではありませんが、実は上の五感以外にも人間や生物が生きる上で備わっている能力が科学的に存在します。
今回のテーマとして以下にまとめていきます。
参考記事)
・Humans Have a ‘Sixth Sense’, And It’s Actually Vital to Our Health(2024/03/30)
参考研究)
・Atypical interoception as a common risk factor for psychopathology: A review(2020/12/16)
・Interoceptive awareness declines with age(2009/10/12)
科学的に知られている六つめの感覚
ほとんどの人は五感(触覚、視覚、聴覚、嗅覚、味覚)を文字通り実感していますが、その他のもうひとつの感覚として「体の内部の状態を感じる」という感覚があると科学者は述べています。
具体的には空腹、喉の渇き、体温、心拍数など、体内の重要な機能を調節する内部信号を感じることが挙げられます。
喉が渇いたときに飲み物に手にとったり、暑いときには上着を脱いだりなど、私たちの体に何らかの調整が行われる際に発揮されます。
この感覚はインテロセプション(内受容感覚)とも呼ばれ、意思決定、社会的能力、感情的な幸福などメンタルのコントロールにとっても重要とされています。
インテロセプションが乱れると、うつ病、不安障害、摂食障害など、多くの精神的健康状態の異常が報告されています。
また、睡眠障害や疲労などによって同様の症状が表れることから、このインテロセプション(内受容)が関係しているのではないかと考えられいます。
内受容が私たちの健康にとって重要であるかにもかかわらず、男性と女性による内部信号の感知の違いはほとんど知られていません。
これまでのところ、シスジェンダー(性の自認と生物学的性別が一致する人)が心臓、肺、胃からの内受容信号を感知し、どのように解釈するかどうかを調査した研究では様々な結果が見られました。
男女の内受容をテーマしている93の研究データを統合的に分析したところ、私たちは、さまざまな状況において心臓、肺、胃の信号を認識することが分かりました。
研究の例として、心拍数を数えて違いを示してもらったり、デバイスを使って呼吸の違いを検出したり、胃の運動を分析する装置などが用いられました。
これらの研究の分析の結果、内受容は男性と女性の間で異なることが分かりました。
特筆すると、女性は男性に比べて心臓(や肺)に焦点を当てたタスクの精度が著しく低いことが分かりまし。
条件が限定的であることからも、男性と女性がこれらの信号に対する認識が異なるかどうかを判断するのは時期尚早かもしれませんが、内受容の違いを研究することは、将来的な健康に繋がることが期待されています。
また、これらの調査結果は、一般的に多くの人が抱える不安障害やうつ病など精神的な不調が、(思春期以降の)男性よりも女性に蔓延している理由を解明するのに役立つかもしれません。
これまでもこれらを説明するために、遺伝学、ホルモン、人格、ストレスや幼少期の環境など、いくつかの理論が提案されています。
これに加え、内受容が幸福にとって重要であることが理解できれば、不安やうつ病に苦しんでいる理由を部分的に説明できる可能性があります。
研究はまた、男性が感情を処理するときに女性よりも内受容信号(例えば心臓から)を使用する可能性があることを示唆されており、男女による感情のコントロールに違いがある理由を説明できるかもしれません。
内受容能力に影響を与える要因を理解することは、精神的健康状態に対するより良い治療法を開発するために重要かもしれませんと研究者らは述べています。
コメント