何か学び続けることは、脳の老化を防ぐ上でとても効果的と言われています。
過去の研究では、教育年数が長いほど、寿命が長いという結果も出ていますが、そのメカニズムはよく分かっていません。
もしかしたら、教育を受ける経済力があるから、より健康的に生活できるのかもれません。
コロンビア大学らは、学校教育と健康の関係をさらに詳しく調べ、勉強することと寿命の関係を明らかにしようと分析しました。
今回のテーマとして以下にまとめていきます。
参考記事)
・Staying in School Linked to Living Longer And Slower Aging(2024/04/01)
参考研究)
・Educational Mobility, Pace of Aging, and Lifespan Among Participants in the Framingham Heart Study(2024/03/01)
学校で学び続けることと寿命や老化との関係
米コロンビア大学をはじめとするノルウェー、英国の研究者らは、3,101人を対象とし、3世代にわたって教育と健康に関するデータ分析を行いました。
その結果、学校に長く在籍することは、より良い教育を受けられるだけでなく、長生きする可能性が高く、正常な細胞の減少も抑えられることが分かりました。
学校で勉強をすることのメリットは、脳細胞の保護以外にも、より良い資格を得られること、そしてその結果より良い仕事を得て、経済的な余裕を持つことを意味します。
それは結果的に医療へアクセスを簡単にし、健康的なライフスタイルを送る機会があること意味します。
ただ、この研究は、学校で多くの時間を過ごす人ほど、細胞レベルで私たちの老化を遅らせる可能性を示唆しています。
コロンビア大学の疫学者ダニエル・ベルスキー氏は、「教育レベルが高い人ほど長生きする傾向があることは長い間知られていた。しかし、そのメカニズムや教育が健康長寿にどう貢献するを解明するには、未だに多くの課題がある」と述べています。
フラミンガム・ハート・スタディを基にした分析では、通常の通学年数よりも2年間学多くの校教育を受けると、老化が平均2~3%遅くなり、さらに死亡リスクも低下することが分かりました。
科学者たちが生物学的老化について語るとき、単に誕生日がくることによって増える年齢を数えるのではなく、細胞の損傷がどうかによって判断します。
老化の測定には、DNA内のマーカーを通じて生物学的年齢を測定するように設計されたアルゴリズム(エピジェネティッククロック)を使用しました。
研究者らは、兄弟間、および子どもとその親を参照とし、教育が及ぼしている影響をある程度分類することができました。
教育と生物学的老化がこのように結び付けられたのは初めてのケースです。
コロンビア大学の疫学者グロリア・グラフ氏は、 「こうした研究で混乱するのは、教育レベルが異なる人々は、教育を受けた背景や地域など様々な要因が異なる傾向にあるということだ」と語っており、世代を通した分析結果を評価する旨のコメントを出しています。
そのため、これらの混乱を最小限に抑えるために、「教育の流動性」つまり親や兄弟と比較し、誰かがどの程度の教育の影響を受けたかに注目したのです。
この研究によって、教育を促進する利点を明確にし、より長く健康的に生きるための方法を模索することが期待されており、生物学的老化マーカーはその方法を助ける有効な指標となるとしています。
幼少期の貧困を含む他の多くの要因が死亡率と関係しており、学校で過ごす時間のない子どもたちも多くいます。
こういった研究によってより良い教育を受ける機会が提供され、貧困を脱するチャンスを与えるきっかけになればと思います。
研究の詳細は、JAMA Network Openにて確認することができます。
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