科学

【研究】夜勤が身体に及ぼす害【要約】

科学

 

 

人類の長い歴史の中では、日が出ているうちに働き、日が落ちてきたら休むという習慣が当たり前でした。

 

人間が夜も働くようになったのはおおよそ産業革命以降の話です。

 

機械の導入によって工場労働者が機械を扱い、大量の製品を生み出せるようになった頃、資本家たちが注目していたのは、いかに生産効率を上げるかについてでした。

 

人が休む時間も働かせることができれば、より効率的に生産活動ができるだろう……と。

 

その問題は、油(鯨油)に火を灯し、明かりを確保することで解決に向かっていきました。

 

人間が夜間も働くようになった瞬間です。

 

その後、人類は電気技術の発展によって夜の活動をもコントロールできるようになっていきます。

 

ここ100~200年の間で、人間の習慣が変わったと言えます。

 

しかし、本来体を休める夜間に働くということは、やはり良いとは言えません。

 

今回はそんな夜に働くことと、その害についての研究の紹介です。

 

参考記事)

Phenomenon That Makes Night Shift Harmful to The Body Identified(2023/10/14)

 

参考研究)

Phase-shifting the circadian glucocorticoid profile induces disordered feeding behaviour by dysregulating hypothalamic neuropeptide gene expression(2023/09/29)

 

 

概日リズムと健康サイクル

 

一般的に体内時計とも呼ばれている概日リズム。

 

動物、植物、菌類、藻類などあらゆる生物に存在し、睡眠や食事の欲求など生活サイクルをコントロールしている生理現象です。

 

英国ブリストル大学の研究チームは、この概日リズムの乱れが動物(ラット)の食行動に大きな影響を与えることを発見しました。

 

研究では、ラットにコルチコステロンと呼ばれるホルモンを与え、ラットの正常な身体リズムを乱しました。

 

コルチコステロンは、ヒト以外の哺乳動物が分泌するストレスホルモンで、ヒトにおけるコルチゾールと同じようなものです。

 

通常、このホルモンは起床前の数時間に急激に上昇し、その後一日中少しずつ下降します。

 

研究対象ラットには、この起床のや就寝のタイミングをずらして注入することで、概日リズムを乱すことにしました。

 

リズムが乱されたラットは、正しいタイミングで輸液したラットや輸液を受けていないラットの対照群と変わらない量の餌を毎日食べることが分かりました。

 

しかし、本来なら休息しているはずの時間帯にも、1日の食事量のほぼ半分を食べることも分かりました。

 

この食事パターンの変化は、体重の増加や脂肪量の増加とは関係ありませんでしたが、通常の摂食パターンとは大きく異なっています。

 

コルチコステロンの上昇値が正常でないラットは、食欲を刺激するタンパク質を産生するいくつかの遺伝子の発現が、通常は関係しにくいはずの時間帯に上昇していたことが分かりました。

 

このことから、概日リズムの乱れが、本来不活発な時間帯の食欲を増加させた可能性が高いことが明らかになりました。

 

ブリストル大学の神経科学者であり、この研究の第一人者であるスタフォード・ライトマンしは、「コルチコステロンと昼と夜の光のサイクルの関係を乱すと、動物が通常眠っている時間帯に、遺伝子調節と食欲に異常が生ずる」と説明しています。

 

  

ヒトでも同じことが考えられる

これと同じ現象が人間にも起こることしたら……。

 

体重増加、糖尿病、がん、うつ病、心臓の健康状態の悪化は、夜間の労働者や夜に活動的な人によく見られることでもあります。

 

特に夜勤の仕事など生活リズムを半強制的にコントロールされている労働者への影響は深刻と言えます。

 

看護師、警備員、その他のシフト勤務者は、日光を浴び、運動をし、定時に食事をとることは困難です。

 

ブリストル大学の内分泌学研究者のベッキー・コンウェイ=キャンベル氏は、「食欲を増進させる脳のシグナルを、規律や日課で上書きするのは難しい」と述べています。

 

これらを受けて研究チームは、夜間の食欲を刺激する異常なタンパク質について現在判明していることを基に、乱れた食欲を抑える薬理療法を探る研究を計画しています。

 

最後にキャンベル氏は、「今回の発見は、慢性的なストレスと睡眠障害がどのようにしてカロリーの過剰摂取につながるのかについて、新たな知見を与えてくれることを期待している」と今後の研究について期待を述べています。

 

この研究の詳細はcommunication biologyにて確認できます。

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