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【身近な化学⑪】マメ科は窒素をコントロールする数少ない植物

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前回記事

 

この記事では著書「身の回りのありとあらゆるものを化学式で書いてみた」から、興味深かった内容や身の回りの物質の性質を紹介していきます。

      

記事を読んでいただき、少しでも世の中の見え方が彩り豊かになってくれたら幸いです。

  

前回までの記事では水素と炭素が強く関係した、油に関係する内容を中心にまとめてきました。

  

今回は水素や炭素から少し離れ、窒素(N)に関係する身近な化学を見ていきたいと思います。

  

窒素と言えば地球の大気中の78%を占める元素です。

  

窒素は空気中にあるだけではなく、動物が生きていくうえで必要であるアミノ酸DNA構成要素だったり、植物が成長するための栄養源にもなったりします。

  

人間は空気中の酸素を吸って二酸化炭素を吐き出していて植物は空気中の二酸化炭素を吸って酸素を吐き出すことができるんでしたね。(それに伴って体内に炭素を溜めている。)

 

植物の中には二酸化炭素を取り込むように、大気中の窒素を取り込めるものがあります。

  

今回はそんな植物と窒素の循環についてまとめていきます。

 

 

マメ科の植物と根粒菌

  

レンゲソウやダイズ、シロツメクサなどのマメ科の植物窒素を利用して成長することで知られています。

  

正確には根っこに存在する根粒菌(こんりゅうきん)という菌が周囲の窒素を取り込み“ニトロゲナーゼ”という酵素が働かせ、窒素(N2)“アンモニウムイオン(NH4+)”に変換することができます。

   

  

これを窒素同化といいます。

  

逆に、植物は光合成で得た栄養分を根粒菌に渡して関係を保っています。

  

植物は根粒菌からもらったアンモニウムイオンを基に、様々なアミノ酸を作ることができます。

   

そのアミノ酸からタンパク質を作り出し、細胞を組織して茎や葉や実になっていきます。

  

それを動物が食べることでアミノ酸やタンパク質動物の栄養源になっていくのです。

  

  

また、マメ科の植物でなくても、動物の死骸や排泄物に由来するアンモニウムイオン菌によって分解(亜硝酸イオンや硝酸イオンなどに)され、土から植物に行き渡るなど自然を上手く循環する仕組みができています。

 

 

窒素の与えすぎ

窒素の不足は生育が悪さを招きます。

 

全体的に小さく育ち、葉は黄化し、分枝や花芽の数も減少し、収穫量も減ってしまいます。

  

対して植物に窒素を過剰に与えてしまうと、茎や枝が異常に成長してしまったりします。

 

葉は大きい割りに薄くなり、葉が茎につく期間は長くなるものの細くなります。

  

こうして成長した作物は病害虫や環境変化に弱いなどの弊害が生まれ、結果的に収穫量が減ったりしてしまいます。

  

“ツルボケ”などがそれに当たり、サツマイモやスイカなどが窒素過剰になった場合は茎葉ばかりが茂り、花や果実、根の肥大が悪くなってしまいます。

  

そのため作物に適切な窒素の量を知ることが、より良い収穫につながっていきます。

  

最後に野菜のタイプごとに必要な肥料の割合を簡単にまとめたいと思います。

  

【1㎡当たりに必要な肥料の割合】

・果菜類①=トマト、ナスなど

窒素(N)…25㌘

リン(P)…30㌘

カリウム(K)25… ㌘

  

  

・果菜類②=キュウリなど

窒素(N)…25㌘

リン(P)…25㌘

カリウム(K)…20㌘

  

  

・根菜類①=ダイコン、カブなど

窒素(N)…20㌘

リン(P)…20㌘

カリウム(K)…15㌘

  

・根菜類②=ニンジンなど

窒素(N)…20㌘

リン(P)…25㌘

カリウム(K)…20㌘

  

  

・葉菜類①=ホウレンソウ、ネギなど

窒素(N)…20㌘

リン(P)…15㌘

カリウム(K)…15㌘

  

・葉菜類②=白菜、ブロッコリーなど

窒素(N)…25㌘

リン(P)…25㌘

カリウム(K)…20㌘

  

  

まとめ

いかがだったでしょうか植物と窒素の化学。

  

マメ科の植物は根粒菌と共生して窒素を上手く循環させているのですね。

  

そうでない場合も動物の死や排泄によって窒素が循環……。

  

仕組みを調べるほどに感心します。

  

最後は菜園的な話になってしまいましたが、自分の頭の整理もできたのでヨシとしましょう。

  

 

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