科学

【研究】睡眠不足が与える身体への影響【要約】

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今回はTEDスピーカーであり、睡眠科学の第一人者Matt Walker氏のスピーチを参考に、睡眠についての知識を深めていこうと思います。

 

【スピーチ】

 

彼の研究をまとめたホームページもあるので参考までに…。↓

https://www.humansleepscience.com

 

 

スピーチ内容

 

1日に5時間しか眠らない男性の睾丸は、1日7時間眠っている男性に比べてかなり小さいです。

 

日常的に4~5時間しか寝ない男性のテストステロン(男性ホルモンの一種)値は、10歳以上上の男性の値と同程度になります。

 

健康の観点からみると、睡眠不足が10年も男性を老けさせることが示されています。

 

女性の生殖機能に関する健康も、睡眠不足によって損なわれていることが分かっています。

 

脳と学習の機能においては、学習の前後に睡眠をとることで効率的に定着できることも研究によって明らかになっています。

 

また彼らの研究グループは、十分な睡眠をとっているグループと睡眠不足のグループを比較して、記憶にどう影響するのかを研究し調査しています。↓

 

 

実験

睡眠グループと睡眠不足グループに分けて新しい事柄を学習。

学習している脳の状況をMRIスキャナで測定し、脳の活動を検証します。

 

【睡眠グループ】

8時間の睡眠をとった後の学習状況を測定。

 

【睡眠不足グループ】

昼寝やカフェインの摂取など、覚醒に関する行動を禁止、睡眠グループと同じ時間を過ごした後の学習状況を測定。

 

 

結果

 

睡眠不足グループは、睡眠グループに比べると40%も新しい記憶の定着能力が低下。

 

詳しく言うと脳の記録領域をつかさどる海馬の活性が低下したとされています。

 

Matt Walker氏曰く、記憶の定着が40%低下することは、学校の成績で赤点をとるか成績上位になるか程の違いがあるようです。

 

また別の研究結果では、サマータイムなどで春に1時間睡眠時間が削られると、翌朝の心臓発作が24%増加。自殺率や自動車の交通事故などにも同様の影響が出ていることが分かっています。

 

逆に、秋になり睡眠時間が1時間伸びると、心臓発作の件数が21%減少するという面白い結果もあります。

 

1日4時間睡眠の人では、ガン細胞にさえ有効な免疫系統であるNK(ナチュラルキラー)細胞が70%も減少することを確認しています。

 

 

これらの研究の応用として、老化と認知症に関する研究もしています。

 

 

老化と認知症

 

老化や認知症は、学習能力や記憶力が低下することがご存じの通りです。

 

老化による生理現象の一つとして、睡眠の質の低下が挙げられます。

 

2017年までの研究にて、深い眠りを妨げること(睡眠の質が下がること)と認知症や老化について関連性が明らかになりました。

 

(探してみたところ根拠となる論文は「The sleep-deprived human brain. Nature Reviews Neuroscience. 2017」のようです。)

 

もし脳の記憶を司る領域に直接働きかけられるとしたら?

 

彼ら(Matt Walker氏ら)は、極微弱な電流で脳を直接刺激する装置を研究開発しています。

 

この装置は、深く眠っている状態と同じ脳波を生み出し、睡眠から得られる記憶の効用をおよそ2倍増幅することができます。

 

彼らの目標の一つは、このような装置を安価で持ち運びが可能な状態にし、睡眠による健康増進に貢献することでもあります。

 

 

この記事のまとめ

・睡眠をとらないことでデメリットがある↓

・テストステロンの値が上がる(男らしい身体になる点でいうとメリットになる人もいる?)

・老ける

・学習能力と記憶力の低下

・免疫力が低下する

・心臓発作や事故のリスクの増加

  

この研究の睡眠時間の基準が8時間なので、それくらいの時間が適切な睡眠の参考の一つにしてもいいかと思います。

  

一部の人は、睡眠が極端に短くてもパフォーマンスに影響がないショートスリーパーを備えている場合もあるみたいですが、身の回りにそういった人がいないのであまりピンときていません。

 

本当にショートスリーパーが免疫力の低下や記憶力の低下がないとしたら羨ましい限りです。

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