さて、本日紹介するカンブリア紀のスーパースターでるアノマロカリス!
…ではなく“ネクトカリス”を紹介していきます。
化石の発掘につれて多くの新事実が発覚してきた古代生物。
アノマロカリスやハルキゲニアなど化石の発見などによる研究の進歩に連れて、当初考えられていた姿から大きく変わっているものも多くいます。
そんな中で最近の研究によって姿が明らかになりつつある生物の一つが本日紹介する“ネクトカリス”です。
ネクトカリスの発見
ネクトカリスの化石は1976年にサイモン・コンウェイ=モリス教授によってバージェス頁岩発見されました。
(※バージェス頁岩=カナダのロッキー山脈中にあるカンブリア紀の地層。本をめくるように剥がれる性質から頁“ページ”の岩と名付けられている。)
化石の発見に基づき描かれたものが以下のような生物です。
頭はエビで体は魚という流石カンブリア紀の生物と言わんばかりのフォルムが想像されました。
類縁関係が遠いはずの節足動物と脊椎動物が融合したような生物と考えられていて、はっきりとした分類が判明しないキメラ生物として話題でした。
このネクトカリスの姿が明らかになってきたのは2010年の頃のことです。
カナダのロイヤル・オンタリオ博物館が収集した90点にも及ぶ新標本によって、その姿が解明されていきます。
ネクトカリスの真の姿
新標本によって明らかになったネクトカリスの姿は、当初考えられていたエビでも魚でもなく、イカやタコに似た軟体動物のような姿でした。
柔軟な一対の触手を持ち、イカやタコが墨を吐くような器官を使ってジェット噴射による移動ができたと考えられています。
カンブリア紀に生きていた事実や彼らの特徴を踏まえると、史上最古の頭足類ということが明らかになります。
しかしこの時代に頭足類が存在したとなると、ちょっとした進化のズレが出てきます。
ネクトカリスたちが生きたカンブリア紀の後にオルドビス紀が到来します。
今でいうタコやイカなどの殻のついていない頭足類は、オルドビス紀に存在したカメロケラスのような殻のついている頭足類の後に出現したとされています。
ネクトカリスのような殻を持たない頭足類が先に現れていることは、古生代のミステリーの一つでもあるのです。
ネクトカリスが本当に頭足類なのかも含め、彼らの生態の解明に研究の期待が持たれます。
コメント