ヒエロニムス・ボスが描く人間の堕落〜快楽の園〜

芸術
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一言で言ったら“奇抜”。

 

そんな奇天烈な絵を描いていたヒエロニムス・ボス。

 

想像上の生き物を人間と交えて描いた彼の作品は、後のシュルレアリストたちに大きな影響を与えることになります。

 

今回はそんな奇才ボスの絵画について見ていこうと思います。

 

まずは彼についての簡単な紹介です。

 

 

ヒエロニムス・ボス

ヒエロニムス・ボス(1450〜−1516年)

 

オランダ南部の小都市スヘルトーヘンボスに生まれたボス。

 

両親が工房を持つ画家であり、裕福な家庭で育ちます。

 

資産家の娘と結婚し、経済的に何不自由ない生活を送りながら絵を描いていたと言われています。

 

彼に関する資料が少なく、その生涯を明らかにするのは難しいとされていますが、各国の領主から絵画の注文を多数受けていたことが分かっています。

 

中でも当時のスペイン王フェリペ2世はボスの熱烈なファンであり、彼の作品を収集していました。

 

フェリペ2世(1556〜1598年)

 

後に起こる宗教改革によるイコノクラスム(偶像破壊運動)によって、保存されていたボスの作品の多くは破壊されてしまいましたが、マドリードにて十数点のみの作品が残ったそうです。

 

今回は彼の有名な絵画のひとつである“快楽の園”を紹介しようと思います。

 

 

快楽の園

ヒエロニムス・ボス作「快楽の園」1480〜1500年頃

 

快楽の園は3枚のパネルからなる祭壇画です。

 

 

【左翼パネル】

快楽の園 左翼パネル

 

左翼パネルにはアダムとイブの住む楽園が描かれています。

 

生まれたイブを神がアダムの前に連れていった様子が描かれています。

 

絵にはユニコーンなどの空想上の動物も絵かがれていて、まさに理想の楽園を表しています。

 

人間が知恵の実を食べる前の無垢な姿を表していると考えられます。

 

 

【中央パネル】

快楽の園 中央パネル
 

 

中央パネルには堕落した人々や奇怪な物体や生き物が描かれています。

 

人々が惚ける姿をユーモラスかつ不気味に表現しています。

 

性器を表す魚、肉体の快楽を表した巨大なイチゴ、低俗さを表した動物との戯れ…。

 

これらの隠喩は、人間が快楽に溺れていく姿を表しているとされています。

 

当時の宗教観もあったため、直接的に表現しなかったとも言われています。

 

 

【右翼パネル】

快楽の園 右翼パネル

 

右翼パネルには堕落した人々が向かう地獄が描かれています。

 

悪魔の腹で溺れる者、リュートや竪琴に磔にされる者、異形の怪物に追い立てられる者……。

 

どこかコミカルに描かれていますが、悪魔たちが人々を淡々と罰する様子が、余計生々しさを感じさせます。

  

 

閉じた状態

扉が閉じた快楽の園

 

絵が描かれた左右の扉を閉じるとこのようになります。

 

神による天地創造が描かれており、光と闇、天と地と水、生の源がモノトーンで表現されています。

 

創造主たる神は左上に描かれていて、扉の上には「まことに、主が仰せられると、そのようになり、主が命じられると、それは堅く立つ。」という、聖書の言葉が記されています。
 

 

ボスの意図

免罪符
レオ10世により発行された免罪符

 

1517年の免罪符の発券から見られるように、当時教会の腐敗が深刻化しており、民衆の信仰心も揺らいでいました。(ボスの没年は1516年)

 

ボスはそんな意識が低くなった教会や民衆に対し、警鐘を鳴らす形でこのような絵を描いたと解釈されることが多いです。

 

淫欲に対してオブラートに包んだ表現が多いのも、教義を重んじた彼の姿勢が見て取れます。

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