の続き…。
~前回までのまとめ~
幼少期に受けた人痘法による苦い経験から、外科医になるべく修行を始めるジェンナー。
ジョン・ハンターの元で研修をした際、とある牛飼いの娘が診察に訪れる。
診断の結果、天然痘の疑いありと告げるも娘は気にすることなくこういった。
「牛痘にかかった人は天然痘にならないのよ。」
彼女の言うことは事実であった、確かに牛痘にかかった人間が天然痘にかかった例はない…。
この噂を検証すべくジェンナーは研究を始めるのであった。
世界初のワクチン
人為的に牛痘を接種させて様子を見よう。
1796年、ジェンナーはある実験をはじめます。
家の使用人の息子を被験者として牛痘を接種。
その後、天然痘を接種するという実験でした。
実験の結果、牛痘接種後6週間経った後に天然痘ウィルスを接種しましたが、少年は病気を発症することはありませんでした。
人類初のワクチン接種が成功した瞬間です。
世間の反発
牛の病気を接種??そんなことしたら牛になっちまうよ。
ジェンナーはこれらの経過を論文にまとめ王立協会に提出します。
しかし、実例の少なさと研究の過程が異質であるとして受けるれられることはありませんでした。
しかし研究は正しいと確固たる信念を持っていたジェンナーは、実験の発表から2年後の1798年に自費にて論文のまとめを出版。
このことで牛痘の接種による天然痘の予防法は多く人に知られることになります。
「牛の病気で人の病気が治る??」
あまりに突飛な予防方に、民衆からの疑いの目は避けられませんでした。
“神が作った自然の摂理に抗うことは、神への冒涜である”といった宗教的な面からくる激しい反発。
“頭から角が生えた”、“四足歩行になってしまった”などありもしない噂が蔓延し、反ワクチン運動まで行われる始末でした。
ジェンナーの信念
何を言われようと必要とあらばワクチンを使う。
そんな中でもジェンナーはあきらめることはありませんでした。
貧しい人々に無料でワクチンを接種したり、ワクチンの採取方法や接種方法、注意点などをまとめたパンフレット作成したりと、種痘法の正しい認識を伝えよう尽力しました。
これらの活動は、彼が脳卒中でこの世を去るまで続けられました。
また多くの人に迅速にワクチンの接種ができるよう、特許を取得することはなかっと言われています。
ちなみにこのワクチンという名は、天然痘ワクチンが作られたきっかけである雌牛(ラテン語でVacca)が語源です。
天然痘の根絶
人類が天然痘のウィルスを確認できるようになったのは、電子顕微鏡開発後、ジェンナーの死後100年あまりが経ってからでした。
ジェンナーの研究は後にパスツールが伝染病の予防ワクチンを開発する際の参考にされ、死後も強く影響を与えました。
ワクチン完成後も天然痘との闘いは続きましたが、1970年には西アフリカ全域で根絶を確認。
1971年には中央アフリカで、1975年にはバングラデシュでの患者を最後に根絶を確認。
1977年のソマリア人青年を最後に天然痘の発症の報告はされず、その年から3年が経過した1980年、ついにWHOから天然痘根絶宣言が発表されたのです。
長らく人類を苦しめてきた天然痘は、人から人へ移る感染症の中でも唯一人類の手で根絶できた感染症です。
根絶宣言以降、今現在においても天然痘が発症し
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