闇の奥
闇の奥(原題:HEART OF DARKNESS)は、1899年にジョセフ・コンラッドによって書かれた中編小説です。
作者であるコンラッド自身が、英国の船員としてコンゴ川に渡った経験をもとに、西洋植民地時代の暗い影を描写しています。
ストーリー全体のあらすじをまとめるに当たって、奴隷の扱いや残酷なシーンについては省かせてもらいます。
以下のあらすじを見ていただけると、この小説の大まかなストーリーが分かると同時に、自分自身で読んだときにもっと楽しめると思います。
あらすじ①~主人公、ジャングルへ向かう~
主人公マーロウの回想から始まるこの物語。
作中では「会社」としか記されていない、貿易会社のに転職したマーロウ。
蒸気船の船長となってコンゴ川を渡り、アフリカの出張所に向かうことになります。
出張所につくと、黒人の奴隷が次々象牙を運び、布やガラス玉と交換していました。
この貿易会社は、アフリカのジャングルから得た象牙を商品としている会社でした。
このアフリカ出張所に集められる象牙の数々。
象牙を調達してくる別の出張所がいくつかあるのですが、あるジャングルの奥地にある中央出張所は、その他の出張所すべてを合わせても足りないくらいの象牙を集めてきます。
マーロウは、その中央出張所を仕切っている「クルツ」という人物の噂を聞き、商隊を連れて彼に会いに行くことにします。
あらすじ②~蒸気船の不可解な修理~
中央出張所につくと、クルツという人物はそこにはいませんでした。
川の上流に入り込んでいるらしいクルツ。
さらに、病気であることも耳にします。
このときマーロウが蒸気船は故障(沈没)したこと告げられます。
このことを告げに来た口ひげの男は、「みんなよくやったよ!よくやった!」と興奮気味に話しかけてきます。(船が動かないのに「よくやった」とは一体どういう事なのか…?)
仕方がないので修理が終わるまでは中央出張所で過ごすことになります。
またある時、修理するための資材置き場から火が上がります。
マーロウは壊れた船の近くでその騒動を見守っていましたが、また口ひげの男が現れ、「みんなよくやってるよ!よくやってる」とバケツに水を汲んで火消しに躍起になっていました。
不可解なのは、そのバケツの底は穴だらけだったこと…。
結局火の手は消えることがなく、資材は炭と化してしまったのです。
あらすじ③~クルツとの出会い~
船の修理も済み、アフリカ出張所から遅れに遅れ、やっとのことでクルツのもとへ蒸気船を走らせます。
船でクルツの居場所に近い川を進んで行くと、突然原住民から矢や槍で攻撃されます。
死傷者を出しながらも船はクルツがいるであろう奥地の出張所にたどり着きます。
そこで出会ったのは25歳のロシア人男性でした。
彼はクルツの崇拝者であり、クルツが病気であることや原住民たちから神として崇められていること教えてくれます。
クルツが送ってくる大量の象牙は、原住民によって儀式的に埋められていたものを掘り起こしたものだと言うことも分かります。
かくいうクルツは、病気が重く動くことすら困難な状況でした。
マーロウはクルツと話しますが、クルツが話す言葉は病人とは思えないほど力強く、惹きつけられる物言いだったことが書かれています。
あらすじ④~恐ろしい!恐ろしい!~
彼を連れて帰ることにしたマーロウ一行は、登ってきた川を下っていきます。
日々弱っていくクルツとも会話をしますが、ある時彼はマーロウに向かって「私は闇の中に横たわって死を待っている。」と弱々しく話します。
ついに最後は、ほとんど息だけの声で「恐ろしい!恐ろしい!」と言い、二度と目を開けることはありませんでした。
・
・
・
船団一行が本国へ戻り、マーロウはクルツの妻に彼の最後を伝えにいきます。
妻はクルツに心酔していて、どうしてもクルツの最後の言葉を聞きたいと言います。
マーロウは答えました。
「恐ろしい!恐ろしい!」
…ではなく、
「彼の最後の言葉は、あなたのお名前でした…。」
と。
こうして本当の最後の言葉を妻に告げることなく、この物語は終わります。
終わりに
以上が闇の奥のあらすじです。
本書で語られる、口ひげの男の行動は何だったのか?
クルツがそうまでしてジャングルの奥地にこだわる理由は何なのか?
予測はできますが真実には近づかず。
本の終わり方も曖昧で、人によって解釈が分かれる作品です。
上記のあらすじ①~④はストーリーに沿ってまとめましたが、本書の全てを表したとは到底言えません。
流れを知った上でもネタバレにならず、まだ考える余地が残される。
そんな興味深い作品です。
コメント