今回から5回に渡り、エジプト神話の紹介をしていきます。
古代エジプト文明の拠り所となった神たちを簡単にまとめています。
まずは日本では比較的メジャーである、ヘリオポリス神話の主な神たち(ヘリオポリス九柱)についてです。
ヌン(Nun/Nwwn)
“原初の水”とも言われ、エジプトの様々な創世神話に登場。
全ての神々の祖であり、ヌンによって世界が始まったとされています。
しかし基本的には存在していただけだったので、後に“意思の力”で自らを生んだアトゥムよりも下位の存在だと考えられることが多いです。
アトゥム(Atum/Tm)
原初の水(ヌン)から生まれた創造神です。
天地創造の秩序を創り出し、大気の神シューと湿気の神テフヌトを生み出します。
神を生み出す際、アトゥムにはお相手がいなかったので仕方なく自分の影と結婚。(自慰をしたともとれます)
これによってシューとテフヌトを生みました。
このことからアトゥムは両性具有とも言われています。
シュー(Shu)&テフヌト(Tefnut)
アトゥムによって生み出された“性別”を持った神々です。
シューは人々が生きるために必要な空気と光を司り、天空を持ち上げる役割を持ちます。
テフヌトはそれをサポートする奥さんです。
妻になる前は、暇すぎたが故に獰猛な雌ライオンとなりヌビア砂漠を駆け回ったりとやんちゃな一面もあります。
この二人の子が、天空の神ヌトと大地の神ゲブです。
ヌト(Nwt)&ゲブ(Gb)
手足を長く伸ばしているのが天空の神ヌトです。
下で寝そべっているのが大地の神ゲブです。
シュー、テフヌト同様に二人は夫婦になりましたが、熱愛激しく四六時中イチャコラしていたため、世界は空と地上に隙間が無い状態に…。
大気の神であり父であるシューはこれに怒りを示し、二人を無理やり引き離すことにしました。
こうして天と大地は分かれましたが、この時すでにヌトは子を宿していました。
その子どもたちが、後にエジプト神話のビッグネーム、オシリス、イシス、セト、ネフティスです。
オシリス(Osiris)&イシス(Isis)
オシリスはかつて、超絶人気の豊穣の神としてエジプトを統治していましたが、色々あって後に冥界の王になります。
自分にピッタリであるからと言って、誰が作ったか分からない棺に入って死んでしまったといううっかりエピソードもあります。
そんなオシリスに尽くすのが、良妻という言葉がぴったりのイシスです。
オシリスが死ぬたびに苦難を乗り越え復活させようとします。
オシリスに変わり豊穣を司る神でもあります。
セト(Set)&ネフティス(Nephthys)
暴風や戦い、破壊を司る神であるセト。
常にオシリスに敵対し、オシリス神話では悪神として登場します。
神話の中ではトップクラス戦闘力を誇ります。
妻であるネフティスは夫であるセトと不仲です。
子を作りたがらないセトに嫌気が差し、オシリスと関係を持とうとあの手この手を使う話があります。
そのため姉でもあるイシス(オシリスの妻)との仲も良くないように見えますが、時には協力関係を結ぶこともあります。
以上、概念的存在であり原初の神であるヌンを除き、
・アトゥム・シュー・テフヌト・ヌト・ゲブ・オシリス・イシス・セト・ネフティス
の九柱の神々がヘリオポリス九柱と言われています。
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