様々な情報が溢れる現代、その情報が正しいかを見極める力が問われる時代になってきました。
特に、気軽にアクセスできるソーシャルメディアには要注意です。
有名人やインフルエンサーが発信しているからといって、その情報が正しいとは限りません。
今回紹介するのは、Tiktokで流行っている疑わしいスキンケアのひとつです。
一部のユーザーは、日光による日焼けや日焼けサロンがニキビや肌の改善に効果的だと主張しています。
これは果たして本当なのか……。
今回は、この噂に関係する記事と研究についての紹介していきます。
参考記事)
・Latest TikTok Acne Hack Could Put You at Serious Risk of Cancer(2024/10/01)
参考研究)
・Sun exposure, a relevant exposome factor in acne patients and how photoprotection can improve outcomes(2023/03/22)
TikTokで拡散されているニキビ対処法と深刻なリスク
過去の研究では、日光や紫外線は皮膚の状態を治療するために使用されてきました。
しかし、これらがにきびの治療に関しては効果的ではないことも同時に示しています。
光線療法は、制御された環境で皮膚を日光または紫外線にさらすことによる医療行為です。
乾癬や湿疹の治療の際、他の治療法が効かなかったりした場合に使用されています。
研究によると、光線療法は炎症を軽減し、皮膚の免疫反応を抑制するのに役立つとされています。
ただし、この療法は、紫外線被曝による有害な影響を最小限に抑えるため、皮膚への放射量を正確に制御できる環境下で行われることが大前提です。
これに従わなかった場合、やけどや長期にわたる皮膚障害などの深刻なリスクにさらされます。
ニキビの場合、紫外線曝露が有益であるという証拠はほとんどありません。
2023年の研究では、19,939人の参加者を対象として、過去6年間の紫外線の影響を分析しました。
研究登録前の過去6年間のUV曝露を調べたところ、毎日(約1時間)比較的低レベルのUVB(太陽から放出される目に見えない放射線の一種)への長期曝露は、若年成人の中等度から重度のニキビのリスクの低下と関連していることがわかりました。
しかし、その研究結果にはいくつかの条件があります。
まず、参加者が曝露した紫外線の正確な線量は直接測定されていませんでした。
その代わり、参加者がどれだけの日光にさらされたかの目安には、対象者が活動していた場所と気象データを使用して計算されていました。
またこの研究では、紫外線への曝露による否定的な影響が考慮されていませんでした。
人間の皮膚細胞の研究は、ニキビと関係があると考えられる細菌プロピオニバクテリウムを除去するなど、UVB光線による潜在的な利点が示されています。
しかしこれらの利点は細胞でのみ示されており、ヒト研究で示された例はありません。
これらの研究の多くは、紫外線による有益な効果よりも副作用の影響の方が強いとし、治療上の使用には十分ではないと結論付けられていることがほとんどです。
1992年から2022年の期間を対象に行われたナラティブレビューにおいても、紫外線への曝露がにきびの症状を改善する可能性は低いことがわかりました。
そればかりか、ニキビを悪化させる可能性も示唆されています。
これは、UVB放射線にさらされると免疫細胞が活性化され、にきびの原因である炎症を悪化させ、にきびの既知の危険因子である皮脂の生成が増加するためと考えられています。
太陽がニキビを治療できるという証拠がないだけでなく、皮膚がんのリスクが大幅に増加するなど、日光にさらされることによるリスクについて研究された研究は多くあります。
小児期または青年期に、一度でも水ぶくれになる程の日焼けを経験した場合、後の人生で皮膚がんを発症する可能性が2倍になることが示されています。
これは、紫外線にさらされることで皮膚細胞に重大なDNA損傷を引き起こすことが原因とされています。
皮膚のコラーゲンとエラスチンを損傷し、たるみやしわを引き起こす可能性が示されています。
対処法としては、日当たりの良い時間帯(午前10時から午後4時まで)は日陰にいることが推奨されます。
また、つばの広い帽子やUVカットのできるサングラスなどを着用し、なるべく紫外線への暴露を避けることが大切です。
現時点で最も効果的なにきび治療は、薬局で購入、または医師が処方される医薬品に頼ること、もしくは植物油脂や精製された糖分、小麦などの食事に気をつける事です。
重度のにきびは、抗炎症作用のある経口抗生物質で治療できます。
医師による治療法は効果的ですが、一番は口から入るものを洗練させることです。
特に日本人の腸や免疫機能は、小麦や砂糖、サラダ油をはじめとする植物油脂に対応していません。
これらを食すことで免疫が撹乱され、肌荒れからアレルギー症状、アルツハイマーや神経痛など様々な悪影響が引き起こされます。
チョコレートを食べた日の翌日にニキビができるということも、こういったメカニズムから起こることです。
ニキビに対処するのではなく、ならないために食事をはじめとした生活習慣を正す。
これが考えられる限り最も効果的な予防(治療法)となります。
以下のように要約できます。
まとめ
・TikTokで流行している「日光や日焼けサロンがニキビに効果的」という情報は、科学的な根拠が不足しておりリスクが伴う
・紫外線曝露は皮膚がんや早期老化のリスクを増加させる。
・紫外線療法が炎症を抑えることはあるが、ニキビへの効果はほとんど証明されておらず、逆に悪化させる可能性がある
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