科学

【研究】大規模研究で確認された超加工食品の有害さ(ディーキン大学、他)

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シリアルやインスタントラーメン、安価で売られているハムやベーコン、はたまたほとんどの清涼飲料水などはいわゆる超加工食品Ultra-processed food)と呼ばれ、生活習慣病やがんなど多くの健康に影響を与えると懸念されています。

 

ディーキン大学、ジョンズホプキンス大学らが行った最大規模の調査によると、シリアルや炭酸飲料などの超加工食品は32の有害な健康影響と関連し、世界の死亡者の5人に1人はこのような不適切な食生活が原因であると考えられています。

 

今回はそんな大規模研究で判明した超加工食品と病気の相関性に関する研究紹介です。

 

参考記事)

Massive Review of Ultra-Processed Foods Confirms Just How Harmful They Are(2024/03/05)

 

参考研究)

Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses(2024/02/28)

 

 

超加工食品と健康への害

  

今回行われた研究では、アンブレラレビューと呼ばれる複数のメタ分析を統合した分析によって、およそ1,000万人のデータが対象とされました。

 

分析の結果、食事中のUPFの摂取が健康状態を悪化させ、心臓病、2型糖尿病、肥満、精神的な健康状態の悪化などのさまざまな疾患による早期死亡を引き起こすことが示唆されました。

 

UPFの割合が多く含まれる食事は、間違いなく健康に悪影響を及ぼし、さまざまな病気との関連性の裏付けと言えます。

 

しかし、これらの食品がどのように病気を引き起こしているのか、そのメカニズムに関しては疑問が残っています。

 

この疑問に対し研究者たちは長年にわたってメカニズム解明のための研究を行ってきました。

 

その大きな原因の一つとして考えられるのが“栄養の質の低下”です。

 

本来摂取するべき栄養がUPFに置き換わり、脂肪、糖分、塩分が多く、繊維が少なく、必須ビタミン、ミネラル、その他抗酸化物質が不足していることが考えられます。

 

これに加え、UPFに含まれる糖分に対して食べる速度が速くなり、食品の構造によって血糖値が上昇しやすいうえ、食欲を抑える効果も低下してしまうということも指摘されています。

 

また、人体に影響を及ぼす可能性があるが長期のデータ不足によって制限されていない食品の添加物や、包装に使われるプラスチック(マイクロプラスチック)など化学物質による危険も考えられます。

 

 

UPFの定義は広い

現在の研究の興味深い点は、研究によっては一部の相関関係が弱いという事があることす。 

 

これはおそらく、UPFというカテゴリーの範囲が広いことが要因と考えられます。

 

UPFは、様々な添加物や化学物質を精製および再構成した原材料によって高度に加工された食品と定義されており、アイスクリーム、スナック、全粒粉パン、加工肉、低脂肪スプレッドなどさまざまな食品が含まれます。

 

これら多くの化学物質や精製された材料がどのような組み合わせによって健康に影響するのかを分析しきるのは困難を極めます。

 

また、年齢、性別、喫煙んや飲酒などのライフスタイルなどの要因も考慮する必要があり、関係するメカニズムの直接的な証拠にはなりません。

 

特定の食品がどのように、そしてなぜ健康不良を引き起こすのかを理解するためにはさらに細分化された研究が必要です。

 

確かなことは、これらの研究は“健康に有害なUPFの摂取を抑制するための理由として役立つはずである”ということです。

 

多くの人々は市販の加工食品に大きく依存しており、中でも貧しい人々はこういった科学的に安価で作られた食品を食べるしかないという状況もあります。

 

さらに不幸なことに、こういった食品を摂取すると脳内の快楽報酬系を刺激し、食べ続けることで依存体質になる可能性が極めて高いです。

 

そういった点も含めて、超加工食品のとりあつかいには十分注意が必要と言えます。

 

この研究は、英科学研究集約サイトBMJにて詳細を確認することができます。

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