スマートウォッチなどを装着して、自分の健康状態を測ったことはありますか?
記録を見て維持改善することで、自分の運動や健康についてより良い行動の目標が立てられたり、モチベーションを上げたりと便利な使い方ができるデバイスですね。
現在このような機器は私たちの状態を測定することがほとんどです。
今回はそんなデバイスを使った動物実験についての研究者のお話。
こういったデバイスを装着し、機器からの電気的な刺激によって私達の体に良い影響をもたらす……。
そんな未来が来るかもしれません。
参考記事)
・Experiment Reveals Human Genes Can Be Controlled With Electricity(2023/08/04)
参考研究)
・An electrogenetic interface to program mammalian gene expression by direct current(2023/07/31)
電気的信号によって細胞を活性化
フィットネストラッカーなどのデバイスは、歩数をカウントし、心拍数をモニターすることで健康維持に寄与します。
スイスのチューリッヒ工科大学は、こういったウェアラブルデバイスの進歩は、いずれ、遺伝子工学の分野でも私たちの健康を増進させてくれるだろうと述べています。
同工科大学の研究では、特別に設計されたヒト膵臓組織を持つテストマウスのインスリン生産や誘発を監察するために、小さな電気パルスを使用した実験を行いました。
1型糖尿病(遺伝型の糖尿病)と同じ状態のマウスにヒト細胞を移植し、針によって直流の電気刺激を与えました。
電気は無毒レベルの活性酸素を発生させます。
活性酸素は、適切に管理されれば細胞を活性化させることができる分子です。
場合によっては遺伝的な影響のある様々な症状を改善できる可能性があります。
私たちは特定の遺伝子セットを持って生まれ、その遺伝行動は生涯ほとんど変わりません。
しかし、遺伝子の発現の仕方は年齢を重ねたり、習慣が変わったりすることによって変化することがあります。
この電気パルスによる刺激は、このような変化を元に戻す手段になる可能性があります。
研究チームは、この方法によって糖尿病マウスの血糖値が正常範囲に戻るよう促すことができました。
このようなインスリンのコントロールは、糖尿病に悩む患者を助ける可能性があります。
原理的には人間も応用が可能としていますが、課題の一つとして小型デバイスでこれを実現する必要があります。
研究者らの予想では、単三電池が3本あれば5年は使えるデバイスが開発可能だとしています。
研究チームはこの技術を発展させることで、インスリン分泌以外のことでも誘発できるだろうと確信しています。
今後時間が経てば、ウェアラブルデバイスは単に健康な状態を報告するだけでなく、より健康になるために刺激を与えてくれる、未来の発明へと進歩していくかもしれません。
研究者らは、「この技術によってウエアラブル電子機器が人間の代謝プログラムに直接介入できるようになる」と述べています。
この研究は、nature metabolismにて確認できます。
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