科学

“大麻の喫煙は私たちが思っているほど害がない”わけではない?

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近年、アメリカやカナダの一部地域で解禁されたことで話題となった大麻。

  

日本では現在のところ、大麻の一般使用は解禁されない方向ですが、海外の解禁のニュースを受けて、規制の緩和を迫る動きも見受けられます。

  

タバコなどの依存性のある嗜好品よりも害が少ないと言われる大麻ですが、実際の所はどうなのでしょう。

  

今回はそんな大麻の使用と健康意識についての研究の紹介です。

 

参考記事)

Smoking Cannabis May Not Be as Harmless as You Think. Here’s Why.(2023/09/02)

  

参考研究)

Perceptions of Safety of Daily Cannabis vs Tobacco Smoking and Secondhand Smoke Exposure, 2017-2021(2023/09/08)

 

  

大麻がタバコよりも害が少ないと考える人が多い

 

米カリフォルニア大学の研究者らは、2017年、2020年、2021年の3回に渡り、5,000人以上の米国の成人を対象としてタバコと大麻の意識調査を実施しました。

  

その結果、大麻の煙にさらされることがタバコの煙よりも安全であると人々が感じていることが分かりました。

  

2017年には、26%の人が毎日タバコよりも大麻ジョイントを吸う方が安全だと考えました。

  

2021年には、44%以上がより安全な選択肢として大麻を選びました。

  

同様に、子供や妊婦などより健康に注意を払うようなグループであっても、大麻の煙をタバコの煙と比較して安全と評価する傾向がありました。

  

こういった意識とは裏腹に、近年の研究は大麻の煙の曝露が健康へ及ぼす影響に懸念を示しています。

  

【大麻のリスクに言及した研究】

Secondhand Marijuana Smoke Is Not Benign

Cannabis Use and Risk of Psychiatric Disorders

The Health Effects of Cannabis and Cannabinoids

Perceived risk of harm from monthly cannabis use among US adolescents: National Survey on drug Use and Health, 2017

 

タバコの研究においては、過去何十年もの歳月と何百もの研究によってタバコの煙と癌や心血管疾患との関係が明らかになってきました。

 

しかし、大麻の煙の長期的な影響に関する研究ははるかに少なく、健康に関するデータが積み上がっていません。

 

また、大麻解禁の傾向はあれど、連邦レベルでは依然として違法であるため、科学者が研究することはより困難です。

 

多くの大麻支持者の中には、大麻の煙曝露による健康への悪影響に関する明確な調査結果の不足していることを、その無害性の証拠として指摘していますが、それは見当違いです。

 

科学者たちは、大麻とタバコの煙の両方に何百もの化学物質を特定しており、その化学物質の中には発がん物質と多くの毒素が特定されています。

 

タバコと大麻の燃焼は、喫煙であろうとベイプ(蒸気を吸い込む方式)であろうと、肺の奥深くに吸い込まれ、組織の損傷を引き起こす可能性のある粒子を放出します。

 

受動喫煙と大麻の煙の影響に関する動物実験は、血管拡張の障害、血圧の上昇、心機能の低下を含め、心血管系への影響に関して同様のことを示しています。

 

先ほど述べたように、大麻の煙によって引き起こされる肺がん、心臓発作、脳卒中のリスクを判断するにはより多くの研究が必要です。

 

人々が大麻の安全性をどのように認識するかは、その使用と公共政策に重要な影響を及ぼします。

  

大麻使用に関する決定の複雑さは、臨床試験は大麻が特定の環境で利益をもたらすことができることを実証している点にもあります。

 

医療用大麻などがその良い例ですね。

 

医療用大麻が良いものだからといって、一般に使用する大麻が良いものかどうかは分かりません。

 

少なくともタバコのように煙などに含まれる科学物質の害は懸念すべきだと感じます。

 

使わなくて済むなら使わないに越したことはないです。

 

そういった情報も自ら獲得する力も身につけられるといいですね。

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