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【研究】日常生活での何気ない運動によって、がんのリスクを低減できる【要約】

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運動が肺や肝臓、腎臓などのがんのリスクを下げることは、最早多くの人が知っている常識の一つです。

 

しかし、計画的な運動には時間や意思によるコントロールが必要で、場合によってはジムに通うなどの金銭的な出費も検討することもあります

 

こういったように、いざ運動をするとなるとある程度のエネルギーが必要となることが分かります。

 

運動が病気を減らすための大きな要因であることはわかっていますが、徒歩での移動や家事など日常生活の一部として体を動かすことががんのリスクを減らすかどうかはほとんど研究されていません。

 

今回はそんな日常生活の中で行う運動とがんのリスクに関係した研究についてのお話です。

 

参考記事)

Study Finds That We Can Reduce Our Cancer Risk Thanks to Vigorous Everyday Activities(2023/07/30)

 

参考研究)

Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activity and Cancer Incidence Among Nonexercising Adults(2023/07/27)

Association of wearable device-measured vigorous intermittent lifestyle physical activity with mortality(2022/11/08)

 

 

日常生活での運動とがん予防

   

イギリスのバイオバンク22,398人を対象とした研究では、日常生活に組み込まれた短時間で活発的な運動が、健康に良い影響もたらすことが示唆されました。

 

参加者の約55%は女性で、平均年齢は62歳でした。

 

参加者は手首にセンサーを1週間装着し、1日の中で詳細な活動レベルを記録しました。

 

参加者の活動量やその他の情報は、その後6〜7年の間、がん登録や他の健康記録に関連され記録されました。

 

これによって日常生活でのルーティンとなっている活動とがんのリスクを推定しました。

 

また、分析では、年齢、喫煙、アルコール習慣、食事などがんリスクに影響する他の要因も含まれています。

 

この研究から分かったことは、参加者の約94%の人が、計画的な運動をしていないにも関わらず短時間の激しい運動を記録していたことです。

 

毎日最低3.5分程度、そう言った運動をした場合の参加者とそうでない参加者を比べたところ、がんの発生リスクが全体の17〜18%減少したことが分かりました。

 

参加者の半数が1日4.5分以上運動した場合、がんのリスクは20〜21%減少したことが分かりました。

 

乳がん、肺がん、腸がんなど、運動量に影響されることが分かっているがんについては、運動によってより大きくをリスクが減らすことができることも示唆されました。

 

 

研究の限界

この研究は観察研究であり、相関関係はありますが、確実な因果関係表しているわけではありません。

 

活動レベルが最も低い人が、最も不健康ということは言いきれません。

 

この研究では、活発的な活動量がどのようにがんのリスクを低下させるのか、その生物的メカニズムを説明することはできません。

 

これまでの初期段階の試験では、この手の活動は心臓と肺の活動レベルを急速に改善することが示されています。

 

そして、この活動レベルはインスリン抵抗性の低下や慢性炎症の低下に関連しています。

 

またこれら代表的な2つの原因が、がんの危険因子となります。

 

今回の研究では、毎日の生活の中で行われる活動が、がんや心血管疾患など全体的な死亡リスクに対して有益であることが分かりました。

 

これは推奨されている、週50〜300分の中度の活動または、78〜150分の強度の活動と比べると非常に少ない活動量です。

 

この研究結果は、測定装置と機械学習を組み合わせた発見された私達の生活の中の健康上の利点のほんの一部でしかありません。

 

シドニー大学人口健康学教授のエマニュエル・スタマタキス氏は「こういった技術が、将来癌や他の疾患を予防するためにもたらす影響をより大きくする可能性が期待される」と述べています。

 

この研究は、JAMANetworkにて詳細を確認できます。

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