雑記

【研究】超音波によってマウスの冬眠状態への誘導が可能に【要約】

雑記

 

ある日起きたらそこは未来だった。

 

コールドスリープのような長期的な睡眠によって、時間が経った別の日身体を目覚めさせるというのは人類の夢のひとつです。

 

現在の技術でコールドスリープをすると、体を凍らせた際に細胞が傷ついてしまい、解凍して目覚めたときに致命的な損傷が残るとされています。

 

人間サイズのコールドスリープの安全性は担保できませんが、動物の中には冬眠という形で身体の温度や代謝を下げ、一定期間活動を休止できる種がいます。

 

もしそれが人間に対しても可能だとしたら……。

 

今回はそんな冬眠に関係するある研究のお話です。

 

参考研究)

Ultrasound Induces Torpor-Like State in Animals, Experiment Shows(2023/05/30)

 

参考記事)

Induction of a torpor-like hypothermic and hypometabolic state in rodents by ultrasound(2023/05/25)

 

 

超音波による休眠状態への誘導

 

哺乳類や鳥類の中には、体温や代謝量を下げて眠ることで生存確率を上げる“トルポール”という状態があります。

  

もし人間にこの休眠状態を起こすことができれば、命に関わるような病気を持つ患者や、宇宙での長期間のミッションに参加する人などで、その効果が期待できるかもしれません。

 

ワシントン大学が行った最新の研究では、睡眠、体温、代謝の調節に関わる脳領域を超音波で刺激することで、マウスをトルポール状態へ誘導することが可能なことが判明しました。

 

 

また、自然にトルポール状態になるマウスだけではなく、トルポール状態にならないマウスも休眠の誘導ができました。

 

実験では視床下部視索前野とよばれる脳領域のニューロンを刺激する超音波発装置を作成しました。

 

この部位の神経細胞を刺激すると、マウスの体温が約3度低下し、心拍数も47%強低下したことが報告されています。

 

また、代謝の変化も見られ、炭水化物と脂肪の両方をエネルギー源としていたマウスが、脂肪だけをエネルギー源とするようになり、自然にトルポール状態へ変化するのと似ていることが分かりました。

 

実験時の室温(約22℃)で行なわれたもので、マウスが自然に睡眠に襲われるような環境的要因がないことも確認済です。

 

また、超音波の強さは、トルポール状態の深さと相関していました。

 

超音波の音圧と時間が上がるにつれて、マウスはより顕著な体温と代謝の低下を示し、超音波誘導性低体温低代謝と呼ばれる状態(UIH)になりました。

 

これよりマウスの体温は24時間の間、通常の34度より低い32.95度に保たれ、超音波をオフにすると自然に元に戻ることも確認しました。

 

脳神経の活動パターンは詳しく調べたところ、超音波を照射する度に活動が急増し、マウスの体温の変化と一致していることが分かりました。

 

ワシントン大学のバイオメディカルエンジニアのYaoheng yang氏は、「これらの結果から、UIHは視床下部視索前野ニューロンの超音波による活性化によって誘導されることが明らかになりました」と述べています。

 

まだ遺伝子配列解析により超音波が視床下部視索前野のTRPM2チャネルを活性化していることを明らかにし、このイオンチャネルが動物をUIHに誘導する役割を果たす、超音波感受性のイオンチャネルである事を実証しました。

 

これはマウスでも貴重な知見ですが、研究チームはさらに一歩踏み込んで、本来は休眠状態や島民を示さない種に休眠状態を誘導できることも示しました。

 

まだ人間をハイパースリープに陥れるにはまだ程遠いが、1960年代から科学界が追求してきた、非侵襲的で安全な長期睡眠を実現する可能性を秘めていまる」と研究者は述べています

 

 

まとめ

・超音波によってマウスを休眠状態へ誘導することができた

・本来休眠しない状態のマウスでも再現が可能だった

・別の手でも休眠状態を誘導することが可能

・いずれ人間も長期睡眠をしながら未来の時間を楽しめることができるかもしれない

 

以上、マウスのトルポールについての研究まとめでした!

 

本来冬眠をしない動物に対しても同様の兆候がみられたようですね。

  

研究が進めば、人間にも応用できるようになるかもしれません。

  

コールドスリープ後、未来で安全に目覚めることができるなら、自分も体験してみたいです。

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