“施せし情は人の為ならず おのがこゝろの慰めと知れ
我れ人にかけし恵は忘れても ひとの恩をば長く忘るな”
人に情けをかけるのは、自分のためである。
自分が他人にかけた恩は忘れても、他人からもらった恩は忘れてはならない。
〜新渡戸 稲造 著 「武士道」を貫いて生きるための366の格言集」より〜
情けを他人にかけることは、実は自分のためでもあるという言葉があります。
オハイオ州立大学の心理学論文の中に、他人への優しさとメンタルに関する研究があります。
最新の研究によると、他人のために善い行いをすることは、うつ病や不安の症状を改善することに役立つ可能性がある、という分析結果がでています。
今回はそんな“他人に優しくするとどのような効果があるのか”についてのお話です。
この記事は、THE OHIO STATE UNIVERSITYに掲載された記事Feeling depressed? Performing acts of kindness may help(2023年1月10日掲載)を参考に作成しました。
親切と社会的繋がり
この研究は、うつ病、不安、ストレスに関する中程度から重度の症状があった患者122人を対象とし、他人に優しくすると心理的にどのような効果があるのかを調べたものです。
参加者は3つのグループに分けられました。
1つ目のグループは、週に2日の社会活動を計画するよう指示されました。
2つ目のグループは、うつ病の認知行動療法を指示されました。
3つ目のグループは、1週間に2日だけ、1日に3つの親切な行為を指示されました。
参加者は5週間、これらの指示に従って心理的な状態を評価されました。
さらに5週間経過した後に、研究者が参加者に対して再評価を行い、グループごとに効果がどれだけ現れたかを確認しました。
調査結果、3つのグループ全ての参加者が満足度を向上させうつや不安の苦痛を軽減したということがわかりました。
その中でも、人に親切な行為を行ったグループは、他の2つのグループよりも大きな改善を示しました。
(※左→親切な行為、真ん中→社会活動、右→認知行動療法)
彼らが行った親切な行為は、友人のためにクッキーを焼く、友人を車に乗せてあげること、付箋に励ましの言葉を書いて残すことなどがみられました。
この研究によって、社会的な繋がりを感じることが、うつや不安障害を改善する大きな要因になることが明らかになりました。
また、社会活動をするよりも、周りにいる誰かに親切にした方が社会との繋がりを感じるということも分かりました。
オハイオ州立大学の心理学の博士論文を主導したデビッド・クレッグはこう言います。
「社会的つながりは人生における幸福に強く関連する要素である。
親切な行為を行うことは、それらのつながりを促進する最良の方法の一つとなる。」
親切は自分の為にもなる、という科学的な研究結果ですね。
もし何か困っている人がいたら助けてあげる余裕を持つというのは、自分の為にもその人の為にも良いことだということが分かりました。
ただ、困っている人はわざわざ探して人助けするのはお節介すぎて嫌がられる可能性がとても高いので、ちょっと気にする程度でいいのかもしれません。
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