【ことばの心理術⑨】免罪符で他人をコントロール

心理学
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【前回記事】

   

「ひと言」で相手の心をつかむ ことばの心理術 フレーズ辞典

        

この記事では、著書「ひと言」で相手の心をつかむ ことばの心理術 フレーズ辞典から、日常で使える言葉の心理術をまとめていきます。

       

主に心理学で使われる用語やその使い方に焦点を当て、ためになったと思ったものを優先的にピックアップしていきます。

       

今回は他人をコントロールする際に使える心理的なテクニックについてです。

  

悪用厳禁な内容でもあるので、この記事を読み終えた後にどう使うかはあなた次第です。

  
  

行為の正当化

本書にて、とある捕虜に対しての心理的な反応を記録した実験が紹介されていました。

  

「君にはスパイを仕立てあげる任務についていたという容疑がかけられている。もし事実であるなら君は死刑だ。疑いを晴らすために、みんなの前でこれを読め。」

  

と言って、捕虜仲間の前で、敵国の思想に賛成するという内容の書面を読み上げさせます。

後に、「君への疑いは間違いでることが分かった」と捕虜に伝えます。

 

すると、書面を読み上げた捕虜の多くが、その後、無理に読まされていたにもかかわらず、その思想を熱心に支持するような言動や行動をとるようになったといいます。

  

この結果は、たとえ自分の信念とは違う思想でも、それを口にしたことで行為を正当化しようとしたと考えられています。

  

発言の一貫性を貫こうとする心理が強く働いている良い例ですね。

  

この洗脳にも近い心理術は、日常生活にも応用が可能です。

   

会議などで、自分の意見に対して賛成か反対かを決めかねている人や反対派の意見を持つ人に対して、「では論点を整理してみましょう。〇〇さん、賛成派の意見をまとめてみてください。」と頼むのです。

  

そうすると、賛成意見をまとめてくれた人が自分側の意見に傾倒する可能性が高まるのです。

  

目標を公言することで、達成率が上がるという“パブリック・コミットメント”に似ていますね。

  

良い使い方も悪い使い方もできるので、使い方は良心にお任せします。

  

  

免罪符効果(モラルライセンシング)

  

免罪符といえば、中世〜近世カトリック教会で発行した証書のひとつで、信徒がこれを購入することでこの世での罪の償いを免れることができると信じられたものですね。

  

「今日は運動したから、ビールを飲んでもいいか!」といったように、良いことをした分だけ悪いことをしても良いという気分になることを“免罪符効果”といいます。

 

2020年11月に海外のニュースを取り扱うOCメディアに取り上げられた研究「Datablog | How coronavirus messaging could provide a moral license to misbehave」では、コロナ禍における免罪効果についてまとめられています。

  

この研究では、ジョージア州の一部地域を対象にある調査をしました。

  

「国民の大半が先週家にいた」とアナウンスされたグループと、何のアナウンスもなかったグループに分け、「来週は出かけるかどうか」を聞き取りました。

 

その結果、ステイホームをしていたことを知ったグループの方が、何も知らされていなかったグループよりも18%ほど外出やすい傾向にあることが分かりました。

 

これは、私たちはしっかりと政府の要請を守っているのだから、多少ルールを破ってもいいだろうというまさに免罪符効果の表れと言えます。

  

免罪符効果の対策としては、“免罪符効果を知ること”が挙げられます。

 

「○○したから△△してもいいよね」という感情が芽生えてきたら、これは免罪符効果なのだと自覚し、本来の目標を見失わないことが大切です。

  

  

免罪符で人をコントロール

「アルバ・ジョン・フィッシャー」の電気洗濯機

   

さて、最後にこの免罪符効果を使って自分ではなく、他人をコントロールする方法を紹介して終わりにしようと思います。

  

第2次世界大戦時のアメリカにて、初めて家庭用の洗濯機が売り出されました。

  

その便利さのため、話題性は抜群でした。

  

しかし、売り上げはイマイチでした。

 

洗濯機メーカーがこの原因を調査したところ、原因は洗濯機の便利さにありました。

  

当時のアメリカの主婦たちは洗濯物を手で洗うことがほとんどでした。

 

そのことが原因で、洗濯表を使うことで“家事を手抜きしていると思われるのではないか”と心配していました。

 

洗濯機を使うことが罪の意識に繋がっていたのです。

  

そこでメーカー側はこのようなキャッチフレーズを広告に載せました。

  

「洗濯機を使うと手で洗うよりも、清潔に洗えます」

 

「空いた時間で今よりももっと家族に尽くすことができますよ」

  

このメッセージは絶大な効果を発揮し、瞬く間に洗濯機が、アメリカ社会に普及していきました。

  

「洗濯の手抜き」という罪を、「手洗い以上の清潔さ」「家族との時間の確保」という免罪符によって打ち消したのです。

  

このように、何か新しいものやシステムを利用することが合理的で便利だと頭では分かっていても、それまでの価値観に縛られてしまうことによって拒否してしまうことはよくある話です。

  

そんな時に免罪符が必要になります。

  

それを手にする(使う)ことで、“あなただけでなく、家族、友人などみんなが幸せになる”という大義名分を渡すことで、その人の行動をコントロールことが可能になるのです。

  

大義名分(免罪符)の前では、小さな利己心は消え失せてしまうというテクニックでもあります。

  

  

まとめ

・口に出させることで反対意見さえも動かすことが可能

・「○○したから△△してもいいよね」という感情は、免罪符効果を知る事でコントロール

・免罪符効果で他人をコントロール

・悪用厳禁

  

以上、免罪符で他人をコントロールするテクニックでした。

 

集客のためのフレーズなどを学んでいると、これらを使った文言は結構目に入ったりします。

 

とあるコミュニティーやサロンの勧誘、大手企業の広告、社会問題のキャッチコピーなどでもよく使われる手法です。

 

実はあまり必要がないのに、うたい文句に惑わされてお金を失ってしまうなんてことも……。

  

そんな時のためにも、大層な大義名分がついた文言はよく考えて向き合う必要がありますね。

  

それにしても悪用厳禁と言われるとやりたくなってしまいますよね。

  

いわゆるカリギュラ効果というやつですね。

 

怖や怖や……。

 

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