今からおよそ5億年前、それまで、単純な構造しか持たなかった生物は、光を感知したことによって多種多様な変化をすることになったと言われています。(カンブリア爆発)
中でも目は、生物の生存、繁殖には欠かせない期間となっています。
複眼、単眼、目の位置など、生物によってその役割は様々です。
2022年12月20日エジンバラで開催された英国生態学会の年次総会にて、ゴールウェイ大学のケビン・ヒーリー博士によって、目や知覚に関する面白い研究結果(暫定)が発表されました。
参考:Research reveals which animals perceive time the fastest より
その研究は、生物によって知覚できる時の流れが違うというものです。
人間と比べると何倍も早い世界で生きている生物もいれば、ゆっくりまったり過ごしている生物もいることが分かりました。
今回はそんな生物の時間感覚についてのお話です。
トンボは人間の4.6倍遅い世界を生きる
ヒーリー博士は、光の点滅実験によって時間の知覚能力を測定したデータを集め、分析しました。
知覚能力は、光の点滅に対して視神経が情報を送るスピードを記録する網膜電図を使って測定されたのもを使用しました。
分析によって分かったことは、時間を最も速く知覚する動物は、小さい動物、空を飛べる動物、海の捕食者に多いということです。
人間はおよそ65Hzでものを見ることができます。
(1Hz=1秒間に1回の周波数)
対して、トンボやクロバエは、300Hzもの処理速度でものを見ることができることが分かりました
トンボやには人間の4.6倍ほど、世界がゆっくりに見えているということですね。
それは確かに、飛んでいるトンボやハエを道具無しで捉えるのは難しいですね。
脊椎動物の中で最も高い処理速度はヒタキ類の146Hzでした。
その他、鮭が96Hz、犬が75Hzと人間よりも速い目を持っているようです。
最も遅い目を持つのはオニヒトデの0.7Hzでした。
オニヒトデには周りの魚達がいつの間にかあちこちに瞬間移動しているように見えるのでしょうね。
ただし、これは悪いことではなく、視覚を制限することによって、目の網膜細胞に繋がるニューロンの負荷を減らし、その分のエネルギーを成長や生殖など他の生存戦略に活かすことができるとされています。
また、人間でも時間感覚に差が生まれる場合があります。
サッカーのゴールキーパーは、より速い速度で変化を認識し、他の人よりも時間をゆっくりに感じているそうです。
反射神経、動体視力などを鍛えるとそのような感覚が身に付くのかもしれませんね!
またコーヒーを飲むことでわずかながら時間感覚を研ぎ澄ますことが可能な実験も多数報告されています。
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