クールベが描く表の世界と裏の世界~画家のアトリエ~

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ギュスターヴ・クールベ(1819~1877年)

 

今回紹介するのはギュスターヴ・クールベが描いた名作“画家のアトリエ”です。

 

クールベが世界万博に絵を出品する際、絵のテーマが不適切として“オルナンの埋葬”とともに審査落ちしてしまった作品のひとつです。

 

二つの大作が落選したことに怒ったクールベは、万博の隣に小屋を建て自分の絵を披露する個展を開きました。

 

そうさせるほど彼を突き動かした大作は一体どのようなものだったのか。

 

傑作“画家のアトリエ”を見ていきましょう。

 

  

画家のアトリエ

ギュスターヴ・クールベ作「画家のアトリエ」1855年

  

この絵の正式なタイトルは、「画家のアトリエ、我が芸術生活の7年にわたる一時期を定義する現実的寓意」となっています。

  

縦361cm×横598 cmの大作で、それまでの芸術家として人生を一枚の絵に表現したと言われています。

 

この絵はキャンバスに絵を描くクールベを中心に、左右に人々が分かれるように描かれています。

  

右から左にかけてそれぞれ見ていきます。

 

  

右側:生の世界

  

絵の右側には、友人や芸術家などクールベにとって身近な人物たちが描かれています。

  

一番右で本を読んでいるのは、フランスを代表する詩人で評論家のシャルル・ボードレールです。

  

ボードレールは“悪の華”などを代表作とし、近代詩の父とも呼ばれている人物です。

  

パリの居酒屋ブラッスリー・アンドレールで知り合って以来、交流をもつようになったと言われています。

 

その隣の夫婦と思わしき人物は、上流階級の妻と夫とクールベが語っていますが、具体的に誰なのかは分かっていません。

  

さらに左に目をやると、椅子に座る男性の姿が。

  

  

小説家であり写実主義を理論的に評論したジュール・ユッソン(シャンフルーリ)です。

  

クールベは彼に向けて“画家のアトリエ”の解説を手紙で送っており、クールベの良き理解者でもあったことが分かります。

 

クールベはこの右側の情景を生を糧にする者の世界と説明しています。

  

  

中央:クールベの意思

  

中央には筆を持つクールベとモデルの女性、そして子供が描かれています。

  

絵の中のクールベは故郷であるオルナンの風景を描いています。

  

裸婦は純真さの表れです。

  

モデルであるハズの彼女をクールベは描いていません。

  

これは彼にとっての純粋な心の表れ(寓意)であり、絵のインスピレーションは彼女の姿(純真さ)から得ていることを表現しています。

  

少年は無垢な心を表しています。

  

慣習に染まった美術ではなく、曇りのない目で絵を見ることを表現しています。

  

  

左側:もう一つの世界

  

キャンバスの向こう側に描かれているのは、彼が“もう一つの世界”と説明した領域です。

  

葬儀屋や密猟者など死連想させる人々やモノなどが描かれています。

  

黒いシルクハットを被った男性は葬儀屋の隣には、新聞の上に髑髏があります。

  

  

これは批評家に対する批判の表れであると考えられています。

 

それまでの彼の人生を考えると、批評によって意見が二転三転することの無意味さが身に染みて分かっていたように感じます。

  

そんな美術界の歪みに対する抗議であるようにも受け取れます。

  

犬を連れコートを羽織った男性は密猟者です。

  

  

一説によるとナポレオン3世をモデルにしたのではないかと言われています。

  

クールベは「フランス共和制を食い物にしているナポレオン3世は、まるで密猟者のようだ。」と漏らしていたこともありました。

 

検閲があり公然と批判できない当時の状況を考えると、そのように描くのも頷けます。

  

また、ナイフやギター、フェドーラ帽はロマン主義の象徴でもあるため、それまでの絵画の傾向を批判していたことも分かります。

  

また彼がシャンフルーリに送った書簡では、後ろに描いているのはユダヤ人やアイルランド人たちだそうです。

  

それらを含めて、“もう一つの世界”には時代の敗北者たちを描いたと解釈されています。

  

 

まとめ

いかがでしたでしょうかクールベの“画家のアトリエ”

  

彼が感じている世間への信頼と欺瞞が集約された絵だと感じます。

  

まさに彼の芸術生活の7年にわたる一時期を定義する現実的寓意にピッタリの作品ですね。

  

しかし当時はその表現を受け入れる土壌が整っていなかったため、彼の作品は万博では認められなかったみたいです。

  

しかしもしこの作品が審査落ちしなかったら、個展という概念がなかったかもしれませんね。

 

 

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