スカンジウム
スカンジウムはレアメタルの中で最も原子量が小さい(軽い)元素です。
タンタルやウランの採掘やタングステンを精錬する際の副産物として産出されます。
反応性が高く分離が難しい上、埋蔵量が少ないことからレアアースのひとつに分類されています。
その価格の高さと扱いづらさから、化合物としての応用はあまり進んでいません。
用途としてはスポーツ設備や体育館、工場などで使われる長寿命で明るく、電力消費の少ないメタルハライドランプにはヨウ化スカンジウム(ScI3)として使われています。
その他アルミの合金に少量混ぜて硬度を高めたりと、蓄電池の電圧を安定させるために使われたりしますが、現段階では使い道は限られています。
地球上におけるスカンジウムは、鉛と同程度の存在量で多くありません。
しかし鉛と違い、地質学的にスカンジウムを濃縮する過程が存在しません。
地殻に広く分散し、多くの種類の鉱物に少量ずつ含まれていることがほとんどです。
そのため、スカンジウムで構成された化合物は珍しく、値段も高くなっているのです。
発見者はラルス・F・ニルソン(1879年)。
彼の故国があるスカンジナビア半島南部の古名スカンジアにちなんで名付けられました。
元素名“~ウム”で終わる理由
ベリリウム、アルミウム、カルシウム…金属元素には“~ウム”で終わるものが多くありますが、その理由はラテン語の中性名詞(~um)に由来すると考えられています。
ラテン語には男性名詞、女性名詞、中性名詞があります。
具体的、活動的なものには男性名詞(~us など)を、
抽象的、集合的なものには女性名詞(~a など)を、
物質的、非活動的なものには中性名詞(~um など)が使われています。
【男性名詞の例】~us
・nasus=鼻
・manibus=手
【女性名詞の例】~a
・rosa=バラ
・tabula=ノート
【中性名詞の例】~um
・aurum=金
・ferrum=鉄
・scandium=スカンジウム
金属こそ正に物質そのもの。
だから“~um”が当てはめられるようになったのですね。
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