キノコを食べて巨大化するのはマリオですが、巨大なキノコと言えば何を思い浮かべるでしょう。
世界最大の単一生物と言われているオニナラタケはその大きさなんと8.9㎢!
土の中で菌糸を張り巡らせて一部を地上に出しているため、見た目では大きいのか分かりませんが、同じ遺伝子を共有する1つの巨大生物として認識されています。
大きく見ることで巨大であることが分かるオニナラタケですが、古代には見た目にも巨大な菌類が存在していました。
それが今回紹介する“プロトタキシーテス”です。
プロトタキシーテス
プロトタキシーテスはシルル紀からデボン紀にかけて生息したとされている菌類です。
その太さは推定で直径1メートル、大きさはで8メートルに及ぶとされています。
それまでコケ類やクックソニアのような背の低い植物の走りが地上に存在していた中、群を抜いて大きな陸上生物です。
プロトタキシーテス発見の歴史
1843年、カナダの地質学者だったエドモンド・ローガンは、カナダ北東部のデボン紀と思われる地層から大きな植物と思われる化石を発見します。
ローガンは同じくカナダの古生物学者であるウィリアム・ドーソンに分析を依頼。
ドーソンはこの化石がデボン紀に生息していた針葉樹が倒れ、その後カビなどに覆われたて化石なったと考えました。
このことから、プロト(最初の)タキシーテス(イチイ)との名称がつけられました。
しかし化石内部の構造が木とは全く違う構造だったため、プロトタキシーテス針葉樹説は疑問視されることになります。
その後巨大海藻説や、風で煽られたコケの絨毯説(2010年頃)など様々な説が出てくることになります。
中でも決め手となったのは2001年。
アメリカの古生物学者フランソワ・ユーベルによって、プロトタキシーテスの検討が行われます。
・担子菌類の構造(強度を増すための太い管状の構造)
・隔壁構造を持つ繊維状構造(生殖菌糸)
・菌糸の隔壁部分の特徴的な突起(クランプ・コネクション)
・化石表面の菌糸構造
……
などプロトタキシーテスが菌類である証拠を提示しました。
発表当初はその証拠も受け入れられず、懐疑的な意見が多く存在していました。
2007年になると、プロトタキシーテスの炭素同位体の測定が行われます。
炭素同位体の測定では、光合成の過程で植物が取り込んだ炭素の量を比較します。
主に炭素12と炭素13の割合を測定します。
もし針葉樹なら、同じ年代、同じ環境で生息して針葉樹と似た炭素量を示します。
しかしキノコのような菌類の場合、取り込む有機物が様々なため炭素の量が一定ではありません。
炭素の同位体分析で得られた結果によって、同じ年代の地層から発見されたプロトタキシーテスでも、炭素12と炭素13の比がバラバラであることが分かりました。
これによって、プロトタキシーテスは光合成をする植物ではなく、有機物を分解するカビの仲間であると結論づけられました。
消えたプロトタキシーテス
しかしそんな巨大生物はデボン紀の次の時代である石炭紀には姿を消してしまいます。
一体何故……。
これには現在様々な説が唱えられています。
裸子植物との競争の末に負けた説。
石炭紀のに進出してきた陸上生物に食べられてしまった説。
何れにせよ、人間の背丈を超える菌類がそこら中にあった世界が存在した可能性を考えるのも楽しいですね。
以上!プロトタキシーテスについてのお話でした!
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