フランシス・ベーコンは実験や観察など、目の前で起こる事実に注目していました。
しかし、いくら人が彼の言葉に共感し研究をしても、そこには先入観や偏見が存在することを彼は理解していました。
この先入観や偏見を持つ人間の性質を、ラテン語で“idola(イドラ)”と言います。
今回は、ベーコンが考えた人間が気をつけるべきイドラについて触れていきます。
気をつけるべき4つのイドラ
【種族のイドラ】
・嫌なことは過小評価し、楽しいことは過大評価する
・やりたいことしか目を向けず、やりたいくないことは見ない
など…。
誰しも経験があると思います。
人間が本来持っている性向で、都合の良い方向に考えてしまうことを指します。
【洞窟のイドラ】
・幼い頃のトラウマが原因で物事を悲観的にしか捉えられない
・社会経験が少なく、自分中心の価値観でしか判断できない
など…。
個人の経験に左右され、ものの見方が歪んでしまうことを指します。
過去のトラウマや経験を洞窟として、洞窟の中から外を見ているような視野の狭さから洞窟のイドラと言います。
【市場のイドラ】
・根拠のない噂話を真に受ける
・皆が言っているからきっとそうだと考えてしまう
など…。
周りに流され、ことの真相を見誤ってしまうことを指します。
週刊誌の記事やマスコミの切り取り報道に踊らされてしまうのもこの市場のイドラです。
人が多く集まる市場での噂で話を真に受けてしまうことから、市場のイドラと呼ばれます。
【劇場のイドラ】
・あの人が言っているから間違いないと考えてしまう
・何も疑わず偉い人の話を鵜呑みにしてしまう
など…。
別名権威のイドラと言います。
テレビCMなどでタレントを使うのも、
「あのタレントが出てるCMなら良いのかも…!」
「あの人も使っているなら買おう!」
という劇場のイドラから起こる感情を狙ったものです。
ベーコンはこれらの4つのイドラを常に意識して観察を行うことで、誤った解釈への対策になると考えました。
イドラは偶像、幻影と訳すことができます。
アイドルと言う言葉もこのイドラが語源です。
ファンの視点を考えると、個人というよりも理想を偶像化したものとすると納得です。
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