聖書の創成期の登場人物“ノア”は洪水の物語の重要な人物です。
洪水物語は、悪が蔓延する地上に神が鉄槌を下した結果、40日に及ぶ大雨、洪水によって人類が滅びてしまう話です。
ミケランジェロはこの様子をシスティナ礼拝堂の天井画のひとつとして描きました。
当初、洪水の悲惨さに焦点を当てていた“ノアの箱舟と大洪水”に関する絵は、やがて動物や風景を重視するようになっていきます。
動物好きで知られるヤコポ・バッサーノは、箱舟に乗り込む動物たちを主軸に大洪水を描きました。
多くの動物(人間も含め)は下を向き、これから来る不安を予期しているような雰囲気を醸し出しています。
19世紀のイギリス画家ジョン・エヴァレット・ミレーは大洪水の終わりを告げる、“箱舟への鳩の帰還”を描きました。
悲惨だった大洪水の様相も、時代経ることで希望に焦点を当てる絵が増えていきました。
死が当たり前だった時代から、産業革命によって生活の安定を手に入れたことを示しているように感じます。
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