みんな大好きアノマロカリス!
本日はカンブリア紀のスーパースターであり、数千万年に渡り生態系の頂点に君臨したとされる“アノマロカリス・カナデンシス”を紹介します。
アノマロカリス・”カナデンシス”
アノマロカリスは、カナダの化石層であるバージェス頁岩から発見されたカンブリア紀最大級の生物です。
全長は大きいもので60cm程あり、当時10cm以下の生物が大半を占めていた世界の中では規格外の大きさになります。
古代ギリシア語のanomalos(アノマロス=奇妙な、異常な)とcaris(カリス=エビ、カニなど)という言葉に由来し、アノマロカリスと名付けられました。
その名を聞くとこのフォルムが思い浮かぶと思います。
実はこれ正確には、“アノマロカリス・カナデンシス”と呼ばれるアノマロカリスの中の一種です。
他にもアノマロカリス・サロンや未分類のアノマロカリス類が存在しますが、概ねアノマロカリスといえば上の画像で話されることが多いです。
アノマロカリスの真の姿
海中を遊泳する姿で描かれることが多いですが、実際はどのように移動していたのかは明らかになっていません。
もしかしたら肢(脚)が化石として見つかっていないだけで、それに似たものを使って海中だけでなく海底なども移動していた可能性があるからです。
近い種である“オパビニア”や“パラペイトイア”などは何対もの肢があったため、アノマロカリスも本来は肢があったのではないかと考えられています。
このように、未だに真の姿を隠しているかもしれない生物として今も研究が続けられています。
アノマロカリス発見の歴史
アノマロカリスが現在の形になるまでには、たくさんの紆余曲折がありました。
彼らを語る上で欠かせない、アノマロカリスの化石の歴史について紹介します。
①触手部分が全身だと考えられた
1890年頃に発見されたアノマロカリスですが、はじめに発見されたのは触手の部分のみでした。
当初はその触手部分が新種のエビか何かの胴体だと考えられ、“アノマロカリス・カナデンシス”と名付けられました。
②口や胴体は別の生物だと考えられた
その後、現在知られているアノマロカリス・カナデンシスの口や胴体部分の化石が見つかります。
当時はそれが一つの生物とは考えられず、口部分をクラゲの化石“ペイトイア・ナトルスティ”、胴体部分をナマコの化石“ラガニア・カンブリア”と名付けられました。
③実は1つの生物だと判明した
最初の化石が発見されてからおそよ100年後の1980年代初期、“ラガニア(本当はアノマロカリスの一部)”に似た化石標本が発見されます。
それと同時に2つのアノマロカリスの化石と、1つのペイトイアの化石がセットで見つかりました。
この事実を基に再調査したところ、これら3種類の化石が実はそれまでの生物とはかけ離れた大きさをもつ1つの生物だったことが明らかになりました。
こうして明らかになったこの生物は、最初に見つけた触手部分の名前に由来し“アノマロカリス・カナデンシス”との学名が決定付けられました。
アノマロカリスの食事
そんなアノマロカリスの食事ですが、硬い殻をもつ三葉虫が主食なはずなのに、歯や顎が硬いものを食すには適さなかったと言われています。
彼らの化石を調べてみると、硬いものを食べた際にできる歯の削れなどが無いことから、脱法直後の三葉虫やその他柔らかい生物を食べていたのではないかと考えられています。
彼らがもつ特徴的な触手は、食べられる獲物を決して逃さないという硬い決意の表れなのかもしれませんね。
しかし数千万年もの間海の支配者だった彼らにも最後が訪れます。
長らく生態系の頂点であった彼らは、その強さ故に進化の必要がありませんでした。
それに対し三葉虫などの非捕食者たちは、硬い甲羅や防御用の棘などを身につけたりと生存の道を探っていきました。
その結果、食べるものがなくなったアノマロカリス・カナデンシスたちは次第に数を減らしていき最終的には絶滅したとされています。(諸説あり)
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